日本のすがた・かたち
「建築家の中で誰が良いと思っていますか。誰が好きですか?」
ことある毎によく問われる建築家像です。
「うーん、居ませんね~」、と応えます。
40半ばの頃から私には理想とする建築家像はあっても、この建築家のようになりたいと思うそのことがなくなっているのです。
そもそも建築家という呼称もあいまいで、建築家団体に所属していることが証明するというようなもので、定義は〈建築の設計監理をする者〉というものとなります。
我が国には建築の設計者、つまり一級、二級建築士の数は膨大なもので、石を投げると建築士に当たる様相を呈しているといっても過言ではありません。
スペインのバルセロナに130年間造り続けている建設中のサグラダファミリアの設計者アントニ・ガウデイならまだしも、新旧国立競技場や現代の世界的建築家といわれている人たちに興味を持てないのも事実です。
これは私には建築の師が居らず、独学で設計の棟梁を目指してきたことが起因していると思えるのですが、決定的なのは時間に対する建築との考え方によるものです。
つまり、築50年ほどで産業廃棄物となる建築を造るような設計者を理想としていない、ということです。
有名大学の教授や高名な建築家の弟子だったというようなことは、設計する建築とは関係のないものだということもあります。
問いに応えているのは、何時も「三百年ほど使って、皆が壊したくないと思えるような建物を考えた建築家です」と。
「学問を積み、人間の生存と生殖に思いを致し、関わりの在る人たちのために負の遺産とならないような建築を設計して行こう」と思い定めてきた30年です。
自分で理想としている建築家には終生なれそうにはありませんが、今は遺跡として遺こるような木造建築を設計し、造って生きて行きたいと思っています。
そして後の人が、遺跡を解体し、再生してくれるような情景を夢見ています。
かたち有るものは必ず失せることを知っていますが、なるべく多くの人に長く大切に使ってもらえるものをと。
できれば後進がそのところを汲んでくれるといいと、無理な妄想も。
今は「世界の公園」プロジェクトに勤しんでいます。
写真: 2026年完成予定 スペインの「サグラダファミリア」
設計 アントニ・ガウデイ(ポートレート)