日本のすがた・かたち
地震、津波、火山噴火、異常気象など、今自然に起きている異変は生き物にとって想定外でも、自然界では想定内のことです。
活動している地球にしがみついて生きている人間は、これら想定外のことについて文句はいえません。
ましてや災害時に過去の対策が行き届かなくても、人のせいや政府の責任とするのは身勝手なことといえます。
明治以降西洋から土木・建築工学技術が導入されると、高層建築や長大な橋梁が建造されますが、実はこの技術革新が我が国の自然災害の増大させた主因といえるようです。
街を歩くと人間のスケール感を遥かに超えた巨大なガラス張り建築が並び、海には橋、海底にはトンネルと、ひとたび巨大地震に遇うと大きな危険物になりかねません。
土木・建築分野は進歩を続け、ひたすら見えない危険を招きいれているようにも思います。
このところ東京湾直下大地震の兆候が出ているといわれ始めました。
昨年12月26日の多摩川河口先で発生した東京湾地震。その後1時間の間に、M2.7~3.4の地震が5回連続しました。
過去にほとんど地震が起きていないところで集中的にM2・5~3・5規模の地震が起きた場合、おおよそ2か月後に大地震がくることがよくある、という過去のデータがあります。
首都圏ではほかに、2月5日早朝に神奈川県東部を震源とする深さ26キロメートルのM4.6の地震があり、東京・町田市と神奈川・川崎市で震度4を記録しました。
東京湾では一番下に太平洋プレートが、その上にフィリピン海プレートが乗り、さらに北米プレートが乗る3段重ねとなっています。東京の人は危ない土地に住んでいるという状況ですが、これを認識している人は少ないようです。
いくら災害対策が進んでも、それにも増して比例して危険構造物が増えている現状を見ると、人間はどこまでいっても進歩していない生き物だと思います。
私はこのところ東京行きが多く、想定されるM7クラスの巨大地震を考えることがありますが、さて、どうするか。
(まあ地震、津波に遇う時は遇った時のこと・・・)にしています。
これは神仏に縋ろうが、祈ろうが所詮は人間の都合なので効き目がないようです。
我が国では戦前まで必然的ですが地産地消の木造建築が造られてきました。縄文時代からこのスタイルは変わらなかったといえます。
先人はその中で自然災害に対応する智慧を磨いてきたはずで、その経験を次の世代に伝えてきたはずと思います。
でも、いくら伝えても、時が経つとそれは風化し、また新たな災害に泣く繰り返しとなるようです。東日本大地震の記憶が新しく、復興が済んでいないというのに私の記憶の中からは、すでにあの阿鼻叫喚が遠のいています。
地上に人間が棲息し始めてから何も変わっていない営みです。
写真: 東京レインボーブリッジの夜景