日本のすがた・かたち
30年も前から毎年巡ってくる憂鬱な日々があります。
突然やって来るのが、何もしたくなく仕事も手に付かないという日々です。
悶々とするだけで、若い時は夜な夜な飲みに出かけ脂粉の香りに気を紛らせていましたが、この数年の冬はというと、コタツに潜り、窓越しに空往く雲を眺めていることが多くなっています。
自分では「自閉性浮遊症候群」と名付けていますが、恋の病に罹ったようにボーとしていて始末が悪いものです。嫌な兆候が出始めてから何時も10日ほどで戻りますが、戻るとあとに残るのが浮遊感です。
意識は、自分では正常だと思いますが、心ここに在らずで、浮遊しているかのように旅に出ているような感じです。
この旅との遭遇を説明するのは難しいですが、いずれにしろ心は近くになくなります。
このようなことがある度に感じることは、身体が軽くなっていることです。
若しかすると人間の魂には質量があって、身体から離れて浮遊すると、意識して量ったことはありませんが、体重が僅か軽くなっているのかも知れないと思うようになりました。
そこにノーベル賞を受賞した梶田さんの研究成果です。
眼に見えないニュートリノに質量があるとの発見です。
「人間の想念や魂には質量があったのだ!」
「念写は立証されたのだ!」
「人の思いは届くのだ!」
「見えないものを信じていいのだ!」
などと自分勝手に解釈をして、このところ身も心も軽いという毎日です。
「自閉性浮遊症候群」は病ではなく、心が何処かに旅しているという空飛ぶドリームタイムと同じ現象だったようです。
このところ一時も気が休まることなく、創作作業の毎日の連続ですが、心は何処かに浮遊しているように軽く、眉間にシワを寄せなくなったように思います。
現在取り組んでいるのは、東京ドーム5個分ほどのパークデザインですが、眼は空を飛んでいる如くに鳥瞰し、身体はガリバーになったような気分です。
この先100年を目指し、次世代の役に立てるような計画ができたらと念じています。
「三島御寮」造営計画も、随想や小説書きも並走です。
「ああ、時間が欲しいなあ~」
贅沢なことですが、この頃のため息交じりの独り言です。
写真: 妄想に出てくる風景