日本のすがた・かたち
「止まってませんよね」
「止まったはずですが・・・」
それから一週間後。
「ハイ、一旦停止していませんので」
「そんなはずはないと思いますが・・・」
それから一週間後。
「安全確認ができていませんので」
「やっているつもりですが・・・」
「やっていませんので。長い間の悪い癖が抜けていないようですね」
それから何日かの猛特訓後の路上試験。
「交差点で違反行為ですね」
(コノヤロー、何の恨みがあって合格させないのだ!)
それから数回の挑戦の後、9回目にしてようやく合格。
うっかりして更新しなかったために苦しんだ半年間。自動車運転免許取得の顛末でした。
学科試験に一発で合格してから5ヶ月間の悪戦苦闘は、今までの人生の中では特筆すべきものとなりました。何しろ中年暴走族といわれたほどの運転の達人で、この50年間無事故で過ごしてきた実績がものをいうと思っていたからです。
月日は我流運転を増長させ、道交法も忘れて、ただわが道を往くが如きの50年でした。その結果は惨憺たるもので、結果としては若い試験官に「有難う。お蔭様で安全運転ができるようになりました」とお礼をいうこととなりました。
「良くがんばりましたネ」と励まされてついホロリ。
この半年は様々なことが一気に起こりました。
仕事や取り組んでいる事業に専念するため色々な背景から離れることにし、ようやく身辺整理がつくと思っていた矢先の免許騒動でした。
大望も目標も主張も行動も、日常の生活が立証するものです。
何を言っても考えても、陰陽は相半ばです。良いことばかりをいってもその分だけ悩みを抱えているのが人間というものです。日向があればその裏には日陰があるように。
人間誰しもが、「食って、寝て、出して(排泄)、死ぬる」、という毎日を過ごしています。
この悪戦苦闘の半年から学んだことがありました。
何の事はない。説明しない常日頃の生活がすべてを現わす、と。
(これから老人暴走族といわれないように気をつけなければ・・・)
写真: 友人が美しい詩を添えて贈ってくれた一枚。