日本のすがた・かたち
ネパールを25日に襲った大地震で、死傷者が1万人を超えるとの報道です。
やはり、と胸が痛みました。
東日本大震災の記憶が薄れかけてきた矢先のことです。
30年前にインドとネパールの文化遺跡の調査旅行をした折、首都カトマンズや周辺の歴史的建造物の遺る古都パタンを訪ねました。(写真-1)
数々の古建築は一様にレンガと木によって組み建てられていて、12世紀からのネパール建築を堪能しました。
五重の塔の原型と思えるような仏塔に感銘を受けました。(写真-2)
私はこの旅行で、我が国の木造建築を深く考えるようになりました。
世界の文化は気候風土の差はあれ、繋がっていると思ったものでした。
その遺跡群が倒壊している写真がニュースで数多く出てきました。
もしかすると…、と不安が過ぎりました。
古都パタンダルバール広場近くに住む家族のことです。一行18名とは別行動を取り、友人の建築家と二人で訪ねた家族の安否です。(写真-3)
とても楽しかった二時間。この歓談があってネパールを訪ねた実感が持てたものでした。
この時の幼子も、三十過ぎになっているはず・・・。
その時の記憶がよみがえり、ただ無事を祈りました。
報道画像では犠牲者の遺体が集団で荼毘に付されています。
できることなら駆けつけたい気持ちで一杯です。
80年前にも大地震があり、甚大な被害が出たとのことです。
建造物は人の命を守る最前線です。
世界一といわれる耐震設計基準を持つ日本の優れた技術を提供したいと思いました。
観光資源を元に判断すると、瓦解した遺跡の復元は古来のままで、という考えと、耐震の復元を、の意見が分かれますが、人間の命の尊さを考えると自ずと結論が出るように思います。
新しい工法で造ったものも、また千年も経てば立派な文化遺産です。
それが千年遺る造りであるならばですが…。
ご無事をお祈りします。
(写真: 荼毘の画像)