日本のすがた・かたち
散歩コースのひとつに竹薮を通るところがあります。
天気が良くなると、設計の合間に気分転換をするため歩きます。
目や身体をリラックスさせるためにもよいので、デスクワークが多くなれば散歩も頻繁となります。
筍が成長する頃の竹林は本当に気持ちが良く、新緑の笹を揺らす風が美味しくさえ感じるものです。
次の茶事の蓋置に使えそうな真竹を探しながら、ふと足元を見ると、小さい黄色の花が・・・。
(おう、深窓の佳人、キンランだ!)
三年ほど見かけなかったが、今年は咲いていました。
嬉しくなってしばらくその容姿を記憶に留めるため眺め入りました。
(また来年も咲いて待っていてくれよ・・・)
そして周りを見ると、また一輪。
(おう!今年は当たり年だ!)
先年、キンラン(金襴)や熊谷草を増やしたいと思い、何株か頂き植えました。
結果は3年目に絶えてしまい、環境が変わると敏感な草木は育たないことを知りました。
諦めていましたが、何となく去りがたく、茶花にしようと、一株を掘って持ち帰ろうと思い、いざ根の周りを堀始めたら、ふと・・・。
(ダメよ、ダメダメ~)
(お花チャン、いいじゃないの~)
(ダメよ、ダメダメ~!)
(かたいことを、いわないでサ~)
(ダメよ、ダメダメ~)
結局、採るのを断念し、土を戻し、残心の思いでそこから離れました。
また来年会えるといいな、と思いながらでした。
良さそうな竹も見つかり、機嫌よく山を下りましたが、それにしても(ダメよ、ダメダメ~)とは乙なフレーズと、ニンマリでした。
日本エレキテル連合は、私の好みの芸人です。
彼女たちが、清楚で艶やかなキンランとどこで結びつくかというと。
二人が作る言葉は、人間の生存と生殖にかかる普遍的な意味を持っていると思える点です。
ともすれば聞こえの良い発言や、被害者側に立ってリベラル派を自認する芸能人は一過性のようです。
本当に自己と格闘した上で発言しているのではなく、ポーズで発言していることからそうなるのでしょう。
私は、彼女たちの日本的で少々猥雑なエネルギーを好ましく思っています。
(あけみチャン、いいじゃないの~)
(ダメよ、ダメダメ~)
キンランと重なるニンマリの気持ちの良い午後でした。