日本のすがた・かたち
そういわれてみれば確かに不機嫌なジイさまと、すぐ切れるバアさまが多くなっているようです。
切れ筋のバアさまは街でよく見かけます。
大概はブツブツと独り言のジャブを出していて、突如として誰彼となくストレートパンチの暴言を吐き出します。
年寄りの病気の一種だと人はいいますが、遭遇したひとは大変です。その点、不機嫌なジイさまはまだ被害が少ないようです。
他人事ではなく、私もその仲間と目されているのかも知れず、世間様の目を気にしながら往来している昨今です。
この種に属さない人たちの特徴は、現役で活動していること、つまり幾つになっても社会との接点を保持していることと思われます。
歳を重ねていくと何事も面倒くさくなり、おっくうになるものです。長い間の人との接触に疲れ、リタイアするとつい孤独を愛するようになりがちですが、ここが分かれ道になるといわれます。
切れないバアさまたちを観察していると、共通の形態が見えます。
まず、よく話しをしています。新幹線を貸切りと勘違いするかのような声高で、それも絶叫に近い会話を交わしている方たち。他人との接点を常にもっていて、身体と頭を使っている方たち。切れない秘訣がここにありそうです。
この秘訣を我がものにしていくには、若い時分からの心がけが必要です。
出来れば生涯を通じて自分ができることを見出してゆく。これは自分の中に潜む才能や可能性を作ってゆくことと同じです。
もうひとつ、遭遇する事象に恋すること。私は何事も色気のあることが好きで、あこがれや恋心の中にこそ人生の妙味があると思っている一人です。目の前に在ることを歌や句に、そして都々逸に唄い飛ばして、生きる時間を満喫しています。
10月20日の鎌倉「雪堂茶会」では、思い出の人小野田雪堂先生と一会を過ごします。
人の出会いと別れの時に想いをいたし、お客様とも淡い交わりができることを楽しみにしています。雪堂先生からは多くのことを学びました。その最たるものが不機嫌ジジイにならない秘訣だったようです。
先生との最後の会話は「無事是貴人(ぶじこれきにん)」でした。
平成17年10月23日(日)第2回鎌倉「樵隠塾」開催予定の一か月前のことでした。
先生の教示を生かし、これから私も上機嫌ジジイを目指して……。
http://www.knob-knob.com/hibi.htm (KNOBさんの茶会案内)
私としては少し品のない言い回しの都々逸ですが、
不機嫌ジジイにブチ切れババア いずれアンタも仲間入り
(写真 茜雲に片々の月)