日本のすがた・かたち
新年、世は新型コロナ・オミクロン株に右往左往しています。
人類は地球上に生息している限り、ウイルスと共存して行く運命にあるようです。
私にとっての去年は仕事対応の日々で、ほぼ無休日というとても印象深い年となりました。また12月で後期高齢者を脱し、漸く晩期高齢者の仲間入りとなりました。
やせ我慢が強い性格上、表面的には意気軒高を装っていますが、それなりの年寄りの新年という分けです。
去年の出来事の中で印象に残ったひとつが、「日本人のルーツは大陸ではなかった」、との研究成果が発表されたことでした。
DNAの研究を始め、気象、言語、植生、土器などの工芸デザインなど、旧石器から縄文時代にかけての発掘調査・研究が進んだ成果といいます。
定説では、日本列島の旧石器時代は、人類が日本列島に移住してきた時に始まり、終わりは1万6500年前とされています。
日本列島での人類の足跡は12万年前(島根県砂原遺跡ほか列島全体で数千カ所)。地質学的には更新世(約258万年前~1万年前)で、殆どが氷河期といわれる時代です。
その12万年前の日本列島には日本人が住んでいた…。
2500年前から口伝の歴史書「飛騨の口碑」を世に広めた山本健造は、新人類の祖はアフリカではなく日本列島にも原日本人が生まれていた、との研究発表をしています。
その最初の地は乗鞍岳一帯で、原ニホンザルが生息していたこともその証だとしています。つまり原日本人が日本人の先祖であり、大陸からの渡来人ではないと、地球物理学や遺伝学、気象学の分野などから明言しています。
20年前、私は意匠と文様というデザインの分野からこの山本説を支持し、現在に至っています。その文様のひとつに「渦巻き文」があります。知る限りでは世界最古の文様とされていますが、我が祖先は自然現象の渦巻きを点や線から螺旋状の文様を創り出したのだと思います。
手元に置く縄文土器の文様は縄の文と共に螺旋状の渦巻き文が多く、縄文中期の火焔土器を始め現代のアイヌの文様に至るまで、圧倒的な存在感を見せています。
私は建築の構想を練る際に、何時しか螺旋状のスケッチを描いていることに気がつきます。時折、このスケッチは遺伝子情報を秘めている螺旋状のDNAの図ではないか、生き物が昇天する際のスパイラル現象では、とも思うことも度々です。
太古の祖先の渦巻き文を何十万年経った今も私は描いている。何という命の継続か、とも思います。
新春の富士山を眺望しながら、トンガの火山噴火を想い、現在取り組んでいる建築の設計に思いを馳せ、今年は知行合一であれと念じたところです。
オミコロナにもお手柔らかにと…。
写真: 火焔土器(縄文中期 約5500年前)
伝 新潟県十日町信濃川付近(馬高遺跡)出土