日本のすがた・かたち

2013年1月15日
志向

0511.jpg

 

 この正月から次の祭事の企画を始めました。

開催は何年か先になりそうですが、都合4度目の「和の心にて候」となります。

企画3年、構成1年、演出2年という予定にしています。

今回は舞台の造営も兼ねていますので、そのコケラ落しということにもなります。 

私の企画は、禅の精神性と能楽の演劇性を兼ねたものを、茶の湯の茶事の構成をもって組み立てようとするもので、それを木の建築空間のなかで催したいというものです。どちらといえば茶事に近いものです。

茶事は何度催してみても新しく、そしてクリエイテブなものです。テーマは常に「面白く深遠に」です。舞台は能楽堂の広さよりやや広い「茶の舞台」と「石舞台」を、と考えています。出来上がれば誰も目にしたことがない様式となると思います。 

今回の楽しみのひとつに、若ものたちとのコラボがあります。共に見据えるところは日本のすがたかたちです。人材が育ち揃ってきたことが、私を動かす原動力となっているのは確かです。 

生業とする建築設計監理は、時代を映す最先端のものですが、歌舞音曲による舞台やライブの企画・構成・演出と同じところがあります。私が建築を設計するということと、文を書く、祭事を催す、茶事をするという行動は同じところに近づいているようです。文学は建築であり、建築は文学であり、そして茶事も同じ線上にあることを感じています。どれも震えるような充足感を得られる可能性を秘めています。 

何をするにも”志しとその向き”が成否を決定します。ヒト、モノ、カネは必要な時には必要なだけ揃うものです。

先人が伝えてきたこと、それを伝統というのなら、私はそれに今を重ねて次に伝えて行きたいと思います。

年頭にあたり、神仏に円成をお願いしました。

(写真 祭事「和の心にて候」2009年11月MOA美術館能楽堂 撮影 星野英介)

 


2013年1月15日