日本のすがた・かたち

2021年6月24日
KNOBさん

『ソーじいじのディジュリドゥ』

おおぉーん おぉーん

ディジュディジュリ

おぉーん おぉーん

ディジュディジュリ

ずっと遠くのお空から

ふしぎな音がおりてくる

 

おぉーん おぉーん

デデジュジュリ

おぉーん おぉーん

デデジュジュリ

地面の下のそこ深く

ふしぎな音がわいてくる

 

デデジュジュ デデジュジュ

ディデデデジュ

デデジュジュ デデジュジュ

ディデデデジュ

おぉーん おぉーん

ディデデデジュ

 

わたしは森の白うさぎ

春のはじめの夕やけに

ふしぎな音がはじまると

どこからともなく声がして

森のなかまが集まるの

そしてみんなできき入るの

 

タヌキやキツネの仲間たち

ちいさな池のお魚も

みんなでいっしょに目をとじる

なつかしそうにきいている

どこかできいた音のよう

どこかできいた声のよう

 

おサルとキツネが手をあげて

なんの音だかわからない

なにかがおきる合図かな

気持ちがいいけどわからない

だれかがどこかで音だして

お空をとんでるようだけど

 

ソーじいじにきくといい

ソーじいじならわかるから

きっと近くにいてくれる

みんなで大きな声だして

「ソーじいじー」、て呼んでみた

「ソーじいじー」、て呼んでみた

 

するとふしぎな音のなか

淡いお空のむこうから

風にふかれてとんできた

ソーじいじがとんできた

池のほとりのきりかぶの

上にふわりとまいおりた

 

ソーじいじは旅がすき

黒フクロウのおじいさん

みんなが呼ぶと飛んできて

いつもたのしいお話を

森のみんなにしてくれる

なんでも知ってるソーじいじ

 

そしていつでもソーという

だからみんながそう呼ぶの

ソー

ソーじいじは目をくるり

ふしぎな音のお話を

森のみんなにしてくれた

 

ソー

あれはむかしのそのむかし

ずっとむかしの音なんだ

みんなが生まれるずっと前

五万年くらいのむかしから

ずっときこえる音なんだ

 

おぉーん おぉーん

ディジュディジュリ

おぉーん おぉーん

デデジュジュリ

おぉーん おぉーん

ディジュディジュリ

 

へー

いまきこえる音がそうなんだ

ソー

おおむかしから その音が

みんなの耳にとどいてる

こころのおくにひびいてる

 

何の音なのこの音は

わたしとおサルが ききました

ソー

アボリジニのディジュリドゥ

アボリジニってなんのこと

ディジュリドゥってなんのこと

 

ソー

日本の南のその南

古いれきしの大陸の

オーストラリアという国の

先住民の人たちを

アボリジニっていうんだよ

 

先住民てなんのこと

ソー

おおむかしからその土地と

仲良くくらしていた人さ

へー

土地と仲良くしてたんだ

 

ソー

むかしの人は皆そうさ

自然のなかでくらしてた

土地といっしょに生きていた

土地のめぐみにかんしゃして

仲良くくらしていたんだよ

 

おぉーん おぉーん

ディジュディジュリ

おぉーん おぉーん

ディジュディジュリ

おぉーん おぉーん

デデジュジュリ

 

以上10頁分

本文全32頁

この童話は、友人デジュリドウ奏者のKNOB(ノブ)さんこと中村亘利さんのために書いたものです。

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『ソーじいじのわっしょい』(2009年・里文出版刊)の第一巻から「ソーじいじシリーズ」の第三巻目で、只今出版準備中です。

先日、ある行事の為に献奏をお願いすることになり、箱根で久し振りに会いました。全国で演奏活動をしていることは知っていましたが、会うと、2006年、重要文化財「奏楽堂」にてKNOB Live 「和の心にて候」を一緒に開催した頃と少しも変わらない雰囲気を湛えていました。長く芸術活動をしている人が保持している気が漂っていました。

パートナーの写真家・アキさんも一緒に、箱根強羅の名勝庭園「神仙郷」を巡り、祭場予定地の参拝を済ませ、楽しい会食の時を過ごしました。

今日はその祭事の企画・構成・演出の準備をしていました。

さあ、当日の儀式がどうなりますか、興味津々というところです。

 

 

写真:KNOB&アキさん(「神仙郷」庭園にて)
絵本『ソーじいじのわっしょい』(2009年・里文出版刊)


2021年6月24日