日本のすがた・かたち

2020年7月20日
サプライチェーン

このところの日本列島は水害など、コロナ以外の災害ニュースに覆われています。近く富士山の噴火がある、ともいわれています。
私は世界最大の災害大国である日本に暮らすひとりとして、災害情報に接するたびに、先人が伝え遺してきた情報が気になるところです。

 

特に仕事柄、災害に遭った住宅について思うところがあります。
先賢が教えてきた、住居を建てる場所の条件を改めて思い起こしてみると、「高台の平坦地、盛り土のなく硬い地盤、水はけの良い乾燥した地、崖崩れや倒壊する樹木のない所」等々。
現代の人口の多い場所ではなかなか望めない条件ですが、コロナ禍によってテレワークなど働き方が変わり、近代都市の機能が失われて行く昨今を見ると、住居の在り方を今一度考えてみるようになります。

 

私たちは、5G、6Gの世代になる現代社会を未来型の文明と呼び、人類の進化といっています。ですが住居を見る限り、未来型という見方はデジタル化した生活様式をさしているように感じさせてしまいます。
スマホを使い自在に機器を扱い、便利さと安全を追求する超管理化住宅です。

 

 

現代住宅といえば、外気と遮断し、密閉された空間で24時間換気扇を回し、除菌スプレーを噴霧し、エアコンのスイッチを絶えず点けておく生活、まるで無菌室の中で暮らすような感があります。
そして、プレハブ加工化と人工化の限りを尽くした造りは一重の経済優先の結果であり、サプライチェーンはほぼ中国製品となっています。
現在では建設部品が中国で生産されにくくなったことや、外国人労働者確保に支障がでたため建設が滞る有様です。

 

ここに来て、経済産業省は2020年度第1次補正予算で計上したサプライチェーンを強靭化する事業の支援先を決定したと発表しました。
コロナ禍で、日系自動車メーカーを始め、各種製造業におけるサプライチェーンの脆弱性が改めて浮き彫りになったことを受け、海外生産拠点の分散化や、日本国内への生産回帰を促し、集中度が高い製品の生産体制を整備する日系企業を支援する予算です。災害に遭わなければ考えられなかったことです。

 

私たちの生活の基本は「衣・食・住」です。この際、それぞれの自給率を高めておく必要があります。それは国民の生活を護る最も大切なことだと思います。
そして住宅は、先人の教えてきた土地に、「木と土と石と草」で造り、代々使える持続型造を推進することです。
そしてまた、災害に遭う度に外国に物資を頼る仕組みや制度を見直し、エネルギー消費を最小に押さえられる国づくりに方向転換してことが重要です。

 

私は今、子々孫々に託すことができる建築造りに邁進しています。

サプライチェーンのなかった縄文時代の暮らしを想いながら・・・。
多分、縄文時代の先祖たちには「自粛子育てウツ」はなかったと想いながら・・・。

 

        コロナ禍や 縄文先祖に 里帰り

 

 

画像:気象庁

 


2020年7月20日