日本のすがた・かたち
すめらみの祈りとどけと春の海
見上げる空に花は舞いけり
天皇陛下がご先祖や神々に感謝され、国家の安泰・国民の福祉・世界の平和などをお祈りされる儀式のほとんどが、宮中三殿で行われます。
宮中三殿とは、賢所(かしこどころ)、皇霊殿(こうれいでん)、神殿(しんでん)の三つの神殿をさします。
中央の賢所には皇祖天照大神をお祀りしてあります。左側の皇霊殿には、神武天皇から歴代の天皇皇后、皇妃、皇親の御霊がお祀りしてあります。右側の神殿には天神地祇・八百万神がお祀りしてあります。
その三殿で「宮中祭祀」が行われます。
宮内庁関係者 によると、
「3月21日には、大震災が発生して以来、初めての宮中祭祀が行われました。『春季皇霊祭の儀』です。参集されたのは天皇皇后両陛下や皇太子さま、秋篠宮ご夫妻ら10人の方々でした」
実は今回、両陛下の祭祀ご出席に反対の声もあがっていたといいます。
また、
「神楽舎の柱が地震で傾き、皇霊殿へ向かう廊下の天井板も崩れており、側近たちは『余震も続いておりますし、非常に危険です』とお止めし、掌典長による代拝をお勧めしたのです。しかし、天皇、皇后陛下は“祭祀をさせて下さい”と強くおっしゃっいました」
結局、祭祀は建物の中には入らず、庭から皇霊殿を拝む『庭上拝』という形式で行われることになったとのことです。
当日の午前10時ごろは、東京では冷たい雨。通常なら陛下は衣冠束帯、美智子さまは十二単風の古装束をお召しになるが、庭上拝ということで、それぞれモーニングとローブモンタントの洋装で臨まれたそうです。
「春季皇霊祭は、本来、両陛下が皇室の祖先に五穀豊穣や国民の幸せを祈る儀式です。
今回は“日本をお守りください”“被災者をお救いください”と必死に祈られたことでしょう。いくら建物の倒壊の危険があるといっても、代拝ですませるお気持ちではなかったのだと思います」、と関係者が述べています。
また、天皇陛下は宮内庁の幹部たちにおっしゃったといいます。
「ささやかでも宮内庁の施設を役立ててもらえないだろうか」と。
このご指示により、宮内庁は24日に次の3つの支援を発表した。
1、那須御用邸の職員用の風呂を近隣地域にいる避難者に開放
2、御料牧場の食料を避難所に提供
3、東京都に避難している老齢の患者を宮内庁病院でも受け入れる
実はこれらの施設のうち、栃木県にある御料牧場自体も甚大な被害を受けているとのことです。
皇室ジャーナリストの話によると、
両陛下は、執務を行われる宮殿は可能な限り使用されず、さらに15日以降は毎日、お住まいである御所のブレーカーを一定時間落とす生活を続けていられるとのこと。1日に2回の停電をする場合は、合わせて4時間も電源を落とされているそうです。
その間は、明かりや暖房を止めるだけではなく、電気を使わない暖房器具の利用も控えていられるとのこと。夜にはろうそくや懐中電灯をお使いになり、暗い中で夕食を取られることもあるとのことです。
国難ともいえるこの一ヶ月。
ただ万民の安寧を祈る存在を戴く日本国民とは、何という民族なのかと思います。
この大災害は地球規模で、生物にさまざまな影響を及ぼすことになってきたが、私たちの拠りどころが天皇にあるかぎり、人々は復活し、復興は速やかに進むと思います。
先祖を敬い、国の安泰を願い、世界の平和を祈ることこそ、日本人の原点だと思われます。
私は今、約2500年続いてきた宗教家ではない天皇の存在を、改めて思い起こしています。そして、日本人として、この地球上に生まれてきて本当に良かった、との思いに至っています。
明日には東海大地震が起きないとも限りません。
地球内部のマントルは激しく動き、猛烈な速さで自転しています。