日本のすがた・かたち

2010年8月18日
多様列島

HP-1018.jpg何もかも
生きる望みとなるものを
今を生きなむ星にまたたく

                                                            
日本列島近海で見つかった海洋生物は約3万4千種とのことです。
未確認の新種を含めると、総種数は約15万6千種に達するとみられるとのことです。
その調査結果を、海洋研究開発機構や東大、京大などのチームがまとめ、8月2日付の米科学誌プロスワンに発表しました。
日本以外の海域で確認された生物種は、オーストラリア近海が約3万3千種、中国が約2万2千種、米カリフォルニア州沿岸が約1万種などとのことでした。
日本列島の豊かな生態系について、チームは、凹凸の多い沿岸地形や太平洋側の沿岸域で黒潮と親潮がぶつかり合うなどの複雑な潮流、流氷の到来する寒冷からサンゴ礁が育つ温暖まである気候の多様さが寄与していると分析しています。そして、さらに約12万2千種が見つかる可能性があると推計しています。
人間を含め、この日本列島に生息する空中、地上、地中、水上、水中生物の多様性はその海洋生物の種の比ではありません。
列島に住むヒト(新人類・ホモサピエンス)も、五万年前から大陸との混血が始まったといわれています。現在の日本人の顔つきを観察してみると、その風貌は多種多様で、いかに世界的混血人種なのか理解できます。
日本列島は複雑な地形の上に多様な気候、そこに棲息する多様な生物。
多様で繊細な精神構造を有するヒトの群れ。世界の人々のお手本にされる生活をしている日本人がそこに住んでいることになります。
そして、列島に棲息する生物には、必須の食物を初め、薬効のある微生物まで凡てのものが具わっているような気がします。
そしてまた、この列島は、世界に稀な平和な国土でもあります。
はっきりしない国の方針も、ねじれ国会も、強い指導者不足も、TVの低俗バラエテイ―番組も、マスコミに扇動される国民性も、果ては自殺者の多さまで、凡そ現代の日本列島に住む人たちの悪しきと思しき行為行動、その何もかもがこの列島の平和の線上にあるものです。
緊張感のない国民と酷評されることもありますが、現代の徴兵制度を持たないこの国の在り方は、過去の戦争から学び、その戦う無益さを立証できる精神を育んできた結果のようです。
私はこの頃、日本列島に住むヒトの多様さは、食や生活風習ばかりか、豊かな心持にまでに及び、世界の国々の手本となる何かを秘めている、と思うようになりました。
私は、大昔より先人が多様に交配してきて、今の今に生きている自分の有難さに、日本人の多様さに、今ようやく気がついてきたようです。
(写真 中日新聞掲載図)
                                                                                                                                                                                                                            


2010年8月18日