日本のすがた・かたち

2009年7月5日
盂蘭盆会

HP-200.jpg西に在る極楽浄土をたずねやる
あの人がいる彼の人もいる

                                                             
7月中旬になると各地で“お盆”が行われます。
お盆の正式名称は異説もありますが「盂蘭盆会(うらぼんえ)」で、語源は梵語の仏教用語のullambana (倒懸(さかさづり)、非常な苦しみ)のことで、古代インドの農耕儀礼が仏教習俗と混淆し、それが中国を経て、飛鳥時代に日本に伝わって朝廷行事にとり入れられたといわれています。
『日本書紀』には推古天皇14年(606)に盂蘭盆会が催された記録が残っていて、この習俗はやがて民間に広まり、日本古来の祖霊信仰と結びつき今日まで伝承されています。
我が国では、この“お盆”と“お正月”が二大祖霊祭で、誰でもが知らず参加している宗教行事といえます。お盆は行事の内容が地方により多少異なるにしろ、代表的なものは、先祖のための迎え火、送り火、盆棚、盆踊りなどです。
火は門火といわれ、先祖を迎え送るたのに灯すもので、七月十三日に行われることが多く、送り火は霊を再び送るもので七月十六日に行われることになっています。
お盆に飾った棚などは海や川に流し、これを“精霊流し”といいますが、各地で行われる“灯籠流し”はその変形のものです。また盆灯籠は門火の変形で、京都の大文字焼も送り火の変じたものといわれます。
お盆という宗教行事にはまったく興味のない人でも、盆踊りに興ずる人は多く、七月から九月にかけて、四国の阿波踊りや岐阜の郡上おどり、富山八尾の風の盆などに全国から人が押し寄せます。
日本人のお祭り好きは驚くほどで、神社本庁が5年をかけて実施した『全国祭祀祭礼総合調査』によると、その数は30万とも50万ともいわれ、家庭の祭りまで考えると想像できない数となるようです。
昨年の夏、私も郡上おどりの輪の中で乱舞もどきの時を過ごしましたが、世界に共通して行われている祭りの中の踊りは、確かに人と人を繋げる儀礼・儀式であり、それがそれぞれの地域を成し、地方や国家を形成し、やがては地球上を繋げるものになると思いました。
なぜ、日本には祭りが多いのか、またその歴史がなぜ古いのか。1億総祭り好きには何か理由があるはずで、そこに日本人の特質が見えるような気がします。祭りは「和心」が働き人との「輪」を作る意識が高まり、祖先(神仏)とダイレクトに繋がる儀式といえそうです。
今年も盆踊りに興じ、亡き父母たちと一緒に踊りたいと思っています。
(郡上おどり)                                              
                


2009年7月5日