日本のすがた・かたち
次の世に伝えし春の朧月
夏秋冬と巡る色葉を
日本は北緯20度~45度、東経122~153度の中にあって、大小約7000の島々から構成されています。
日本地図を中国側から見ると、中国の大半が日本列島に阻まれ、太平洋に面しているところが殆どないことが分かります。
それだけ我が国は狭い国土ながら細長く、北は北方四島の択捉島から西は台湾より先の与那国島のある八重山諸島。東は沖の鳥島、南は南鳥島
まで、国土面積からいうと192ヶ国中、60番目ですが、管轄権をもつ海域は国土面積の12倍で、世界で7番目となるようです。
海洋域を考えると、日本は狭い国ではなく広いというイメージです。そして四季と気候の変化に富んだ国としては世界に類がないようです。
以前、中国の知人が、中国は日本海と日本領土に阻まれて太平洋が見えない、と話していたことを思い出します。彼は何年か東京に住み、日本の気候の変化の良さや、風光の美しさに驚き、『日本人は世界の楽園に住んでいる。何て贅沢で幸せな民族なんだ』と、会うごとにいっていました。
この頃私は、とみにこの言葉を思い返すようになりました。
その国の気候風土は、そこに居住するものに必要な食料をもたらし、必要な生活の智慧を育んでいるはずで、それは何の妨げもなく、とてもシンプルなことで、天地自然の運行に沿うというものです。
それに逆らうことは必ず破綻し、何をしても力が出なくなるはず……。
そう思えてならないのです。
私たちは、その楽園に住みながら、“消費”や“内需拡大”といった日本の気候風土になじまない言葉が横行する時代に生きています。
この楽園では何をしていいのか、何をすると次代のために良くないのか。
今、暖かな日差しを浴び、太平洋に続く海の雲を眺めながら思いを巡らせています。