日本のすがた・かたち

2008年9月18日

hp-34.jpg大和なる和みの色を伝えかし
直ぐき思いや花をたよりに

和みの色は赤や白という色彩の色とその趣を異にします。
その色は、平安初期に編まれた「古今和歌集」にもみえる、物事の美しさ、容姿の美しさ、はなやかさ、というもので、「秋の色が深まる…」というように、ものの趣、けはい、きざし、様子などにも用いられる言葉です。
いろは歌の元といわれる「色は匂えど散りぬるを…」の色も同じような意味ですが、この情感は日本人特有のものといわれ、外国では理解し難い言葉といわれています。 
私たちは日常、日本民族というような民族意識や、日本主義というような原理主義的な感覚をもって生活をしていません。強いていえば、この島国の自然の中に暮らしている一団の日本人、というような感触意識です。
現在、世界の各地で民族闘争が繰り広げられていていますが、その闘いは絶えることを知りません。民族意識や民族間の闘争は、私たちには実感のないもので、過去の歴史をみても、戦はあってもこの民族間の闘争はないようです。稀有な民族といわれる所以です。
その闘いを生じさせないもののひとつに和みの色がある、と私はみています。
先人はこの色を永々と伝えてきました。この自然が生ましめた繊細で情に溢れる思いです。そして花です。花とは世阿弥が「風姿花伝」いう芸術性ともいえるもので、これを真っ直ぐな心にのせて次代に手渡してゆく…。
去年の11月、熱海で開催した祭事「和の心にて候in熱海」のライブで、箏曲家の草間路代さんが、妙なる声と美しい調べで能楽堂を染めました。きっと、この歌も喜んでくれたと思っています。
私はその日、日本人の和みの色をまざまざと観ました。


2008年9月18日