Sのプロジェクト
広報の石川です。
前回に続いて、極地建築家・村上祐資さんのご紹介です。
前回の最後に新しい「茶室」のお話に触れましたが、
今回はその部分をもう少し詳しく紹介していきたいと思います。
太田代表と祐資さんがタッグを組んで提案しようとしているのは、「多面体のドーム形状ユニット」による茶室空間です。
これは、この夏に祐資さんが手がけられた「コンタクト・ユニバース展」でお披露目されたオリジナルの構造体を応用するものです。
(参考URL:http://l-amusee.com/atsukobarouh/schedule/2013/0802.php)
未来の茶室に求められる設計要件とは、どんなものでしょうか?
僕は、建築設計的なことはまだそれほどよくわからなくて、好き勝手に想像してしまいます。
年齢や国籍を越えて、誰でも分け隔てなく参加できて…
簡単に折り畳んだり展開したり、どこへでも持ち運べて…
丈夫でしなやか、壊れなくてかつ安価な新素材(マテリアル)で…
宇宙ステーションでも使えて…
明かりや香りは…
服装は…
書は…
キリがありません。
ただ、茶室が世界や宇宙に通用する「ユニバーサルなもの」になってほしいとは思います。
ハードと同時に、それに伴うソフトというか、「新しい茶の湯の楽しみ方」みたいなものも含めて…。
祐資さんのドーム構造の画期的なところは、容易にコンパクトに組み立て・解体ができ、運送・移設が可能であることです。
もちろんマテリアル面も工夫が凝らされていて、丈夫かつ軽量な特殊な強化段ボールを採用するそうです。
子供でも、何度か練習をすれば数十分で組み立て・解体ができるようになるとのこと。
これは、茶室がどんな場所でも、子供たちでも楽しめるような、茶の湯の裾野を広める大きなきっかけになるかもしれません。
そして一度内部に入ってみれば、そこには全くの異空間を再現することが可能です。
「コンタクト・ユニバース展」では、ご自身が撮影された南極の全方位写真をドームの内側に貼付け、南極の風景を再現されていました。
さて、未来の茶室の内装は、どんなものになるのでしょうか?
そこに足を踏み入れると、人はどんな気持ちになるのでしょう?
内部空間がこれからどう設計されていくかは、個人的にとても楽しみです。
先日の樵隠会の定例では、草案を拝見させて頂きました。
みんなただただ驚かされてしまって、どうやらこれは大いに期待できそう。
祭事担当のKNOBさんも大興奮でした。
「この茶の湯ドームで世界巡回しよう!」みたいな盛り上がりもありました。
これからこの茶室に、祭事や、料理や、種々の茶道具など、みんなで新しい命を吹き込んでいくことになります。
太田代表は「いいね~」の一言。どこが良いのか、何が良いのかはわかりませんが、笑顔でした。
個人的には、宇宙に馴染むというか、宇宙に自然に在るというか、
宇宙のようなとてつもなく大きな「理」と、僕たち地球に住んでいる「ヒト」が、調和できるところを考えるのはとても面白そうです。
モノ言わぬ、でも雄弁な「理」と、対話を繰り返し続けるということ。
言い換えれば、本質に向き合い考え抜く、とでも言うのでしょうか。
Sのプロジェクトも、その全体性が、宇宙に調和するものになっていけばいいなあと思っています。
宇宙の中のひとつの「系」になるイメージです。
すみません、またしても、ちょっと話が逸れました。
また、進捗をお知らせ致します。
(写真・上 ドーム内部の南極の風景)
(写真・中 「コンタクト・ユニバース展」の様子)
(写真・下 子どもでも組立て可能な「南極ミニチュアハウス」と「南極ドーム」(ミサワホーム「南極クラス」にて)