Sのプロジェクト

2013年6月22日
お薬師さま-3

123-1.jpg

 

こんにちは、広報の石川です。

引き続きお薬師さまのお話から、Sのプロジェクトが目指すものを追っていきたいと思います。

お薬師さまは、かつて医療技術と呼ばれるものが確立されていないはるか昔、ひろく大衆からの信仰を集めた仏さまでした。かつては、病にかかればすべて悪霊のしわざ…祈る以外に治療方法はない、とされていた時代。病を治し寿命を延ばすとされたお薬師さまは、大衆の大変心強い味方でした。

そんなお薬師さまが、まだ修行中(菩薩の時代)のころに、将来の衆生救済のために「十二の大願」と言われる誓いを立てられました。

第一願
人々に正しく生きるための教えと術を伝えたい。

第二願
人々が正しく生きられるよう、健全な身体と潔白な心を授けたい。

第三願
人々が、貧しい環境ゆえに「欲しい、欲しい、」とむさぼらないよう、救いとりたい。

第四願
人々が、偏見や思いこみでものごとを誤解し、 そこから苦しみが生まれないよう、常にものごとを正しく見られるようにさせたい。

第五願
法を守る心(法律のみならず、天地のことわり)を持てるよう正しい道に導きたい。

第六願
人々が物、心、身体、貧困のために人格が不正常にならないように正しい道に導きたい。

第七願
人々がもし病気になってしまったとしても、 看護も、医療も、ベッドも、薬も、欠ける事無きよう治し、救いとりたい。

第八願
全ての人々が差別なく、真っ直ぐに修行して覚りを得られるよう正しい道に導きたい。

第九願
人々を悪しき環境から解放し、罪を犯さないように正しい道に導きたい。

第十願
人々がたとえ罪を犯してしまったとしても、その者の懺悔の声を聞いたならば見捨てる事無く正しい道に導きたい。

第十一願
人々がたとえ辛い境遇に落ちいったとしても、すさんだ心で悪を貪らないよう正しい道に導きたい。

第十二願
人々が住むところや着るものなどに不足して、 寒さや暑さ、また貪りの悪に悩まされないよう救いとりたい。

(薬師瑠璃光如来本願功徳経より)

こうして十二の願いをなぞっていくと、どうやら肉体的な苦しみだけではなく、精神的・社会的な苦しみからも人々を解放する…
世の人々に「より善く生きてもらいたい」という尊さを強く感じずにはいられません。

このあたりに、Sのプロジェクトを紐解くヒントがありそうです。

建築家は何故このお薬師さまをイメージしたのか。何か深い分けがありそうです。

引き続き、お薬師さまを追っていきたいと思います。

(写真 文中第十願の「懺悔(仏教語さんげ)」 奈良薬師寺高田好胤和上の書)
 

 

 


2013年6月22日