Sのプロジェクト
またひとつ仏陀の跡を訪ねけり (俳句inインド・ガヤ)
9日間のインド・ブータンの旅から戻ってから一週間。
この数日は時差ボケではなく、なんとなく身体から何かが遊離しているような気がしていて、何事にも気が乗らない呆けた感じだった。
あまり人間離れしたスピードで移動すると、魂が追い付いていかないとは先人の言。ようやくこの肉体に魂が還ってきたのかもしれない。
十日間も留守をすると、メールが数十本、人が入れ替わり立ち代り来訪し、対応に追われる。嬉しい自業自得である。
今回の旅は幾つもの示唆を与えてくれた点で、有意義なものとなった。
気持ちが改まり定まったというか、覚悟が確認できたのだ。
さあ、思いをこめて6Bの鉛筆を揮い、構想プロジェクトに向かおう。
編集が待っている『伊勢神宮』が脱稿し、後はスケッチを三枚残すのみ。
4月末の窯焚きに向けて作陶が始まる。
今回の焼物の土は丹波の原土と志野の土を使うが、丹波土にはインドの釈迦の聖地である尼蓮禅河の砂を入れようと思っている。
使える茶入や茶碗が出来たら、もちろん次の茶事の準主役とする予定だ。
霊鷲山より将来した竹で茶杓を作り、ブッタガヤで入手した三百年前の仏器を香合として、
「インド・ブータン巡礼の茶事」とでも銘打って、と思っている。
インドは再訪であったが、ブータンは初訪。
釈迦の聖地は、穏やかなたたずまいを見せていた。
日本は美(うま)し国。この列島に棲んでいることに深謝九拝する旅だった。
明日からまた忙しさの日々に。
ビール飲みすぎオムツのお世話 パロのホテルで伊達姿 (都々逸inブータン・パロ)