Sのプロジェクト
2019年11月6日
現代はいつから
日頃、「現代では~」「現代人は~」と耳にするたびに、現代っていつからだろう?という漠然とした疑問がありました。
歴史学上の定義は別として、感覚的には戦後からを現代と捉えることが多いように思います。
しかし、自身の過去を振り返ってみても、中学生の時の「現代」(80年代初め)、社会人なりたての頃の「現代」(90年代初め)、放浪していた頃の「現代」(21世紀初め)、そして今令和元年(2019年)で言う「現代」・・・・・・と、この40年あまりの時間でさえ、同時代としては語れないほどの変節や転換期があるのは明らかです。
戦後からひとくくりに「現代」とすること自体、かなり無理がありますよね。
三島御寮は、まさしく「現代」の茶の湯施設となります。
縄文時代から受継ぐ過去の様式美を踏襲しながら、これから三百年は続くことが可能な建築を作るというのですから、現代・近代を飛び越し、今この時代も超越していく、そんな壮大な時間スケールの建築になります。
歴史上切り取られた一時的な「現代」に収まることのない、その雄大な時間軸を考えますと思わず身震いします。
そこに携わる者は、長い歴史の中では自分たちは点に過ぎないという謙虚な意識と、この時代に誰かがやらねばという強い使命感の両方を持ち合わせてなければ、と思う次第です。
望月美幸(建築家・JIA会員)
2019年11月6日