新之介文庫だより
文庫長の佐々木です。
今年3月から 小説「知音」を連載しておりましたが、
7月を以って終了いたしました。
8月からは 「和の心にて候(2)」を連載いたします。
新之介文庫の中で、感想などを含めたコメントも
ご案内してまいりますので、よろしくお願いいたします。
「和の心にて候 Ⅱ」は、前回と同様、宗教観について
書かれていますが、私には今回のほうが分かりやすいと思いました。
あらすじを4回ほどに分けて、ご紹介いたします。
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旅の僧は未明、房総半島九十九里浜に立っていた。
そして、玉前神社に春分の日に礼拝した。
ここで見た、明けの明星。
熱海で行われる、祭事の半年前、
僧は、ネパールに行きます。
空気の薄いところで、自分がなにをしてきたか、
生涯歩くことを我が意としてきたことを回想します。
エベレストを最も近く、しかも高い位置から見られる
カラタパールという山を目指して登ります。
そこで、東京から来たという二人の青年と出会い、
エベレスト街道を2週間かけて歩くことになります。
途上、彼らの悩みを知り、自ら信ずるところの宗教観を語ります。
山行の途中で、青年は自分の叔父と瓜二つの人に会う。
でもここは、ネパールなのに。
僧はそれを「縁(えにし)」といいます。
やがて、青年の一人に笑顔が甦り、
出発のときとは、まるで違う顔付きになっていきます。
一方、祭事の企画、構成、演出をすることとなった本阿弥兵衛。
兵衛は品川のアトリエで、スタッフ2人と、
これから始まる、祭事の準備に取り掛かっています。
旅の僧が願った三つのこと、
次の時代、次世代の子供たちのためになり、手本になること。
日本人が育んできた最も普遍的な文化を かたやかたちで現すこと。
そして、歌舞音曲をもって人々を楽しませること。
これが、基(もとい) と話した。
祭事が行われる能楽堂、このスケッチ。
仕上がっているライブの冊子。
この表紙に、手書きの蝶の絵を入れるなど・・・。
兵衛とスタッフとの軽妙なやり取りがありますが、
意表をつく裏に、スタッフへの慈愛が見えます。
品川の雨の音を聞きながら、絶えて消息のない旅の僧。
二人は、星明かりを見ながらどこかで繋がっています。
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長編小説「和の心にて候(2)」は、
人生における多くの謎解きをしながら展開されていきます。
どうぞご期待下さい。