新之介文庫だより

2019年7月7日
近詠・句歌都々逸43

 

何時からか 空に飛翔し図面描く この世の様を 飽きもせず看て

 

スマホから 意匠を借りる悪しき性 今様人の 軽ろき足どり

 

何時までも 待ちあぐねてる 雨の月

 

咲くまでに 紆余曲折のあり 酔芙蓉

 

設計や 動かぬ指に 曇る天

 

もう既に 上るはず雨 恋しけり

 

ささやけば メダカに届く 相聞歌

 

草引きや 苔むす露地に 渡る風

 

木を愛でて 七十年を しみじみと

 

予定なし この豊かなる 日や愛し

 

ボンヤリと 蓮を見ている あの世なる

 

宇宙にも 心在りせば 蜘蛛の糸

 

人憎し 思えば夏の 気の嵐

 

待ち望む 抗ガン治療の 友の笑み

 

妄想や あと一刻までの 坐禅かな

 

そう言えば 昔の彼女 京鹿の子

 

華や咲け 咲かねば手折る 大賀蓮

 

遅き梅雨 梅や何時まで 閨の中

 

文月や 歳とる女 妖しけり

 

たおやめを 見せて佇む 対鳳庵

 

 

 


2019年7月7日