新之介文庫だより
2019年5月28日
近詠・句歌都々逸39
トランプも 小さく見える 皇統(スメラ)かな
山は山川は川とて海は海 空行く雲も地球(ホシ)の有様
年重ねいつまで生きる我が身かな 先ず願わくは親の年まで
忙しや 心亡ぼす 古稀の坂
コキ過ぎて 耳も昭和も 遠くなり
駆け寄れば 彼待つ橋に 紅い月
妄想や 渦巻く未明 五月尽
荷葉採り 葉葢に点てる 朝餉の茶
何時までも 設計に棲む 夏の虫
便り来て 返さぬ弱さ 笑う猫
遠ければ なお燃えにけり 月の路
思い出は 磯の香りと 父母の声
来てみれば知る人も無し故郷の カモメ啼く空仰ぎ佇む
懐かしき家族の顔のあちこちに 故郷の山夏の浜辺に
浜辺にはただ寄せる波人も無し 思い出多し偲ぶ昔を
変わり行く天地の間の諸々は 明日の夢追うゆりかごの如
ふるさとを 訪ねる夏や 子等の情
父偲び 磯の匂いを 嗅いでみる
ふるさとの 海や懐かし 空の蒼
やる事は 山ほども有り カモメ飛ぶ
2019年5月28日