新之介文庫だより
2018年12月9日
近詠・句歌都々逸33
何処までも 続くススキ野 ひつじ雲
人は生き 往くものと知る 枯紅葉
雄々しくも 孤立無援の 冬仕度
独り行く 頼らぬ自由 冬立ちぬ
眼前に 冬の星座や 筆走る
冬コーヒー 飲んでは語る 建築史
寒空に 連夜のビール 風まかせ
勝負なし 人生色なし 冬の空
池の寒月 ショートカットを 回想す
散歩する 小径に野菊 宵の月
大輪の 白い椿に 托す夢
彼の女を 想い手折るか 白椿
善悪や 富士に誘う 雪景色
待つ身にも 燃える種あり 宵時雨
鳳仙花 幼心の 辿り路
忍び逢う 恋の色かな 黒椿
紅葉落つ 夢を宿して 雪を待つ
麗人や 俳句遺して 旅仕度
三日月を お供に散歩 根競べ
強羅なる 名蹟朽ちるか 苔紅葉
2018年12月9日