新之介文庫だより
2017年12月3日
近詠・句歌都々逸Ⅺ
また巡る師走二日の祝い日に 我健やかにあれと願いぬ
願心を 持てる限りの 堂造り
街角に 舞い来る落葉 冬の声
昨日見た 人生僅か 七十年
「二十歳の頃に・・」落としたはずの命を繋ぎ 今朝も陽浴びの古稀の意気
「背中にネ・・」スキという字を逆さに書いて キスをせがんだ夜もある
今じゃ入歯をパックリ外し 天下無敵の歯茎技
小夜更けて 干柿吊るし 明日を待つ
ボケた振りしてハグしてみたら 抱きしめられて絶える息
「無料のネ・・・」動画観たさにiPad 買って 慣れる間もなく認知症
ジジイと言われりゃ腹立つけれど「そうだよな・・」他の呼び名が見つからぬ
コタツに入って手を握ったら「暖ったかいのにネ」ひと間違いで青くなる
このままで 歩くか落葉 先の道
わだかまる 人の気配に 散る紅葉
時を食い 図にするよすが 冬籠り
囁けば 鉛筆の跡 暮れなずむ
立冬の 宵に隠れて 生ビール
悪しきこと 良きこともなし 今朝の夢
思い出は 雪降る夜の 窓明り
認める 墨の匂いや 母の顔
写真:及川真奈美さん絵の嬉しいプレゼント
2017年12月3日