新之介文庫だより

2017年11月6日
近詠・句歌都々逸Ⅸ

 

成就せぬ ことの楽しさ 万華鏡

 

今日もまた 了りて我に 有難う

 

道半ば 常に課しては 道半ば

 

暖かな 夕餉の旨き 泡ビール

 

道を問う ことも忘れて 恋時雨

 

またも冬 後何年の 雪化粧

 

富士の根に 紅葉の雲居 滝の音

 

須らく 今日も暮れゆく 星一つ

 

この頃は 燃える間もなし 初時雨

 

そこはダメよと たしなめられて 手を引く未練の ヘボ将棋

 

もっとやってと 言われてやれば そこがいいわと 肩叩き

 

万年も 使い残れや木の館 庭に咲散る 花を友とし

 

待ち望む 我が構想の花咲くを 巡る季節を とどめ訪ねて

 

暮れなずむ 歳として観る 死ぬ生きる

 

この頃は やること多し 山紅葉

 

新たなる 明日の朝へと 一里塚

 

あの頃は 燃えて 悶えた 蝉時雨

 

上弦の 月が見ていた 初逢瀬

 

設計の 切なさに遭い 野を歩く

 

思い出は 父母姉の 貌と声

 

 

 


2017年11月6日