新之介文庫だより

2014年4月7日
『水晶殿改修記』-47 大理石

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新之介文庫の佐々木です。

円形ホールの背面の腰壁はイタリア産の大理石で仕上がっています。

その中心にはマントルピースがあります。

改修工事にかかる前までにも、いろいろな事情があったものと思われますが、この大理石には、自然の輝きというか、艶がないようにも感じられた。

調査の結果、石の表面に薄く補修が施されていた。

解体に着手する際、「この大理石をなるべく再利用できるよう、取り外しには十分気をつけるように」、と建築家より指示があった。

創建時の名残をとどめようとする結果だった。

「使える材料は、造営主の名残をとどめるために再利用するから、古材を断りなく破棄しないように」と太田は工事担当者に頼んでいた。

 

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創建当時は戦後間もない頃、よくぞこのような大理石が入手できたものだ・・・。そして今回の改修工事でも、その奇跡は再び訪れた。

同じイタリア産の大理石で色を揃え、新旧の材料で仕上げることができることになった。

担当したのは、竹中工務店の協力会社の㈱TAKAO岐阜流通石材工業の平井さん。

平井さんはじめ工場のスタッフが、再利用する材料と真正面から取り組んだ成果でした。

 

何度も岐阜に通いました。

色調、ふの入り具合、質感、連続性など細かい検査の連続。

この作業は正に、建築家の要請に機敏に反応した結果でした。

円形ホールのイメージがこれで固まった瞬間でした。

新旧の大理石が何処に使われているのか、現場を見ていた私にも分かりません。

 

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太田は、「造営主がこれで良し、と仰って下さっているような気がする・・・」と。

設計監理のすべては、この結果を目指している。

 

写真 上  旧水晶殿に使用されていた大理石

    中  新旧材を組み合わせ、どこにどれを使うのか決めている

    下  現場のマントロピース周りに貼った状況

 


2014年4月7日