新之介文庫だより

2013年7月31日
『水晶殿改修記』-31 カーペット工事

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新之介文庫の佐々木です。

特命工事の中で、改修前に工事を担当した2社があります。

カーペット工事はそのひとつ。

水晶殿の特色である円形ホールの真っ赤なカーペット(緞通・だんつう)は、山形のオリエンタルカーペット(株)さんが担当しました。他の各室に敷き込まれているものもそうです。

太田は計画当時から、オリエンタルカーペットの名を挙げ、特命工事とするように提案しました。

その提案の前に山形の本社工場を訪ね、品質などの事前調査をしています。既存水晶殿に敷き込まれているものを再利用できないか、ということも訪ねた理由のひとつでした。

「毛足長さ13ミリの手差しカーペットは、日本ばかりか世界の最高レベルで高価なのものだ。この会社では自前で羊毛を染色しているから、褪色している部分を再生して使いたい。」

建築家は、高度の技術で作られているため再利用できないか、それに高価なことや先人の仕事の名残をとどめたいと考えたのです。

何回か検討がなされましたが、結果は新規に作りなおそう、それも同じレベルと同じ当初の色で、既存ものは再利用しようということになりました。

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「日本人が誇ることのできる仕事がここにもある。ここのカーペットは最高水準だ。」太田の言葉です。

実績は皇室はじめ国内有数な建築に及び、最近では歌舞伎座の仕事もしています。

http://www.oriental-carpet.jp/works/index.html

竣工近く、何度も品質や色の調整を経た真紅のカーペットが敷き込まれました。

水晶殿を訪れる方は、真紅のカーペットの向こうに広がる相模の海に我を忘れるようです。

造営主はこのデザインを太陽とされたと聞きます。

象徴的なかたちと色です。

(写真 水晶殿円形ホール 撮影ヒロ・フォトビルディング  下 工場製作状況)


2013年7月31日