新之介文庫だより

2017年7月31日
近詠・句歌都々逸Ⅱ

 

 

 この夏は ビールも呑める 芋月夜

 

 ドドドンと 花火に紛れ 手を握る

 

 人生の黄昏時と人のいう 今ココにいる今日も明日も

 

 待つことで 激しさ募る 片想い

 

 道はなし 大海原を 独り行く

 

 皆が皆同じこととは思わざる 善し悪しのこと雲の行方も

 

 シャーシャーシャー 昼寝や枝に 蝉幾つ

 

 松の翠に例える操 松を枯らせる虫もいる

 

 雲に乗れそな気がしてきたら 主に乗れそな気にもなり

 

 梅干や 蓮も見ている おちょぼ口

 

 ビルの谷 傘さしかける 通り雨

 

 今日は極楽明日は地獄 往くも往かぬも主次第

 

 遠ければ 募るばかりの 夏時雨

 

 いつまでも ぐずつく小雨 断てぬ糸

 

 薄嗤う 記憶の底の おぞましき

 

 蓮の紅 浄土の姿 映しけり

 

 ボケた振りして悪さをしたら 敵もさるものせびられた

 

 「後はネ・・」そっと生きてく積りでいたら 恋のほむらがまた戻す

 

 今ここに 在ることのあり 蓮の露

 

 人生の 黄昏時か 星一つ

 

 浮気心で迫ったアナタ 好いたアタシは下心

 

 

句・歌・都々逸集『緑の洞』近詠抜粋

写真: 今夏のクマゼミ

 


2017年7月31日