新之介文庫だより
2013年1月14日
『水晶殿改修記』-12 設計陣
新之介文庫の佐々木です。
改修工事に向けてその構想を具現化する作業にかかりますが、水晶殿改修設計にふさわしいスタッフが選ばれ、打ち合わせを重ねていきます。
施主が何を望んでいるのか、太田が何を考え、何をしたいのかを理解することから設計が始まりました。
最重要とされる構造設計は尾林孝雄、意匠、設備担当に土屋、日吉のほか総勢11名。全体のコーデイネーターとして私、佐々木が参加しました。
現存の建物の実測図の作成、各種調査の整理、そして改修計画の実施設計と進み、意匠、構造、設備、イメージパース、建物の模型製作、特殊工事の詳細、全体工事費の算出、建築確認申請などの事前調査と、まるで小説が映画化される際の台本を手掛けているような、そんな感じで・・・。
太田の傍にいて、改めて建築家の仕事は格闘技のように苛烈なものだと感じました。体力勝負のようでもあり、修行僧のようでも。
不思議なことに新之介さんは設計が始まると同時に、小説の執筆を始めることに。設計行為はいつも著作の執筆が道連れかも。
もちろんこの作業は、建築家と施主側との綿密な打ち合わせを並行して行うという、重要かつ濃密な時間とも言えます。
造営主が遺した原設計図は2案、目の前に建つ水晶殿の現存建築。これらをもとに100年先を見るのが設計の目指すところ。スタッフは力が入ります。
この折に太田が詠んだ歌
天地の間に浮かぶ白船は 宇宙の光を享けて放ちぬ
(随想『水晶殿』掲載 歌)
(写真 下 水晶殿模型「基礎」 作成 加藤惣一)
2013年1月14日