新之介文庫だより
2012年11月28日
『水晶殿改修記』-4 奇跡の90日から50年
新之介文庫の佐々木です。
水晶殿は昭和29年11月完成(未完成とも)。
工期はわずか90日。当時最高の水準の「人、物」を造営主が用意した。しかも、鉄骨鉄筋コンクリート造という工法で。
そして50年。この間、維持管理の上から、いくつかの改装工事もありました。屋根の防水、外壁、絨毯、円形サッシなど。
いくら当時の最高の技術とはいえ、50年の歳月は、改めて調べる必要があります。なかでも、地震に対する関心度は高いもののひとつです。そこで、水晶殿も、耐震診断を行いました。診断は竹中工務店が、太田新之介が監修と可否判断を担当しました。
結果は、大方の予想では、耐震上無理があって当然・・・ しかし、この建物は、平面の形、独特の構造とかたちなど、実に合理的な事もあり、耐震性は問題なしと判定。
造営主が当時、詳細にわたり指示をしていたことが、今の時代でも通用出来たことが証明されました。
一方、この機会に、建物のあらゆる個所を調査することになり、床下に入り、地中梁の状態を、さらに屋根の防水が切れた原因などを調べた結果、材料の劣化などがななり進んでいることが判明。
この状態では、改修を検討せざるを得ない。できるだけ、現状を残して、建て替えしないでやる方法を模索することにできないか。
「改修は再生に繋がる・・・」 建物を実測調査、地盤の調査、耐震性、隧道の調査を行い、これから先につなごうという計画に発展しました。
7年前に始まった水晶殿改修の計画。次回からは、この4つの調査を追いかけます。
(写真 改修前の水晶殿)
2012年11月28日