イベント情報, 太田新之介作品集
2022年4月21日
丹波茶碗 十二作の内-9
丹波沓茶碗 銘「摩訶迦羅」(まかから)
- 手にしてから暫く銘を付けずにいたが、或る日ふと見ると、大黒天が小槌を持って出てくる姿が観えた。
幼い頃、漁師の父は七福神の恵比寿・大黒天を祀っていて、何かにつけ拝んでいた。
景色の大黒天と父が重なった。大黒天は元来ヒンドウ―の主神の一人で、破壊神としてのシヴ神(大自在天)の別名であり仏教に入ったとされる。
サンスクリット語の「マカーカーラ」で訳では「摩訶迦羅」と音写する。
偉大な黒い神、偉大な時間を意識してご加護があるように、と名付けた。
渋い仕上がりであるが、丹波の原土の特色を遺憾なく発揮したすがた・かたちとなり、亡き父の拝む姿を思い出させる一碗となった。
懐の深さが好ましい。
2022年4月21日