イベント情報

2016年10月17日
「東渡仏教美術展」

 友人の俳人で作家である虚栗庵こと高田祥平氏が、東京・根津の水墨専門ギャラリーでコレクションをお披露目します。いずれも名品です。私も近く伺う予定です。

東渡仏教美術展を開催(Gallery SHANBARA)

東京・根津の水墨専門ギャラリー「Gallery SHANBARA」では、9月26日(月)から10月下旬まで、「東渡仏教美術展」を開催します。北斉~隋時代(7世紀前後)の「菩薩・比丘像」(大理石製)や北宋・遼時代(10世紀)の「八角七重仏像」(鍍金銀製)など、貴重な仏像や仏塔など10体が展示されます。とても希少な至高の芸術品を、この機会にぜひ拝観ください。商談も併せて行う予定です。

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「東渡仏教美術展」開催中

―東渡佛教美術展―

虚栗庵収蔵品 SHANBARA主催
2016年9月26日~10月下旬

(1)北斉~隋(6世紀末~7世紀初) 菩薩・比丘像 (大理石製) 60cm高 45cm幅

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高い宝冠を戴き左手に水瓶を持つ菩薩像を中尊として、比丘像を両脇に配したであろう三尊像(或は脇侍菩薩も含む五尊像)の一部。菩薩の円形頭光には同心円と唐草がめぐり、舟形光背に火焔紋がゆらぎ立つ。朱色や緑色が残り、当時の色鮮やかな様子がうかがえる。元は、台座まで含めて全高1mは優に超えたであろう作品。
参考 北斉・菩薩五尊像(正定県文物保管所蔵)
   北斉・弥勒七尊像(河北省文物研究所蔵)

 

 

  (2)北魏末~東魏(6世紀前半) 菩薩立像 (石灰岩製) 52cm高(台座込)

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面長の顔にアルカイック・スマイルをたたえ、腰をやや前に突き出して立つ。右手は施無畏印を結び、左手は衣紋と瓔珞をそっとたぐり寄せている。修復箇所が多いものの、端正な顔立ち・流れるような衣文・すらりとした体部など出色の出来ばえである。直線的に刻まれた裙の襞は、法隆寺の百済観音像を想起させ、我国の飛鳥時代の彫刻を考える上でも極めて興味深い。
参考 北魏~東魏・菩薩立像(MIHOミュージアム蔵)
   東魏~北斉・菩薩立像(青州市博物館蔵)

 

 (3)北斉(6世紀後半) 半跏思惟像 (大理石製) 34cm高 台座20×13cm

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半跏思惟像は、シャカ王子(ゴーダマ・シッタルダ)が王家を脱出して山中での厳しい修行に入る前、切株に腰を下ろし瞑想に耽った場面を表現したものである。沈思黙考する表情・柔らかな体躯に張りつく衣文・温もりさえ感じる切株などが一体となり、柔和かつ静謐な雰囲気を醸し出している。台座には、香炉(或は舎利器)を捧げもつ二人の童子(或は地天)と一対の獅子を配している。
参考; 北斉・半跏思惟像(『中国仏教彫刻史論』掲載個人蔵)
北斉・双半跏思惟像(故宮博物院蔵)

 

(4)北斉(6世紀後半) 半跏思惟像 (大理石製) 54cm高 台座33×16cm

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肩から垂れた大きな衣文・両脇の供養者・両手などを欠損しているが、顔の表情は静謐感をたたえている。台座には、香炉(舎利器)と化生仏を戴く童子(或は地天)や一対の獅子、それに二人の力士像を配している。

<台座背面銘文>
「大魏天保三年歳次壬申正月庚午朔十一日庚辰尹仲思寺僧曇鋒敬造思惟玉象一區上為 皇帝陛下又為群僚百官師僧父母上過現存復為□□合生咸蒙斯福證元上界」
天保は北斉時代の年号であるが、ここでは大魏と誤って刻している。類似する誤刻例は故宮博物院蔵品にも見られる(『曲陽白石造像研究』紫禁城出版社2005)。西暦552年に尹仲思寺の僧曇鋒が発願して造像したことがわかる。
参考 北斉・半跏思惟像(大坂市立美術館蔵)
   北斉・半跏思惟像(浜松市美術館蔵)

(5)隋~初唐(7世紀初) 菩薩頭像 (大理石製) 35cm高(台座込)

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花綱のメダル上に化仏を載せた宝冠とヘアバンド、高く巻上げ編んだ頭髪、やや下脹れの顔立ち。眼差しは正面を見据え、口元をきゅっと結んでいる。少女から女性へと変貌する時期を写したと思われる、肉感あふれる像である。
参考 白鳳・夢違観音像(法隆寺蔵)

 

 

 

 

 

 

 

(6)北斉(6世紀後半) 釈迦立像 (青玉石製) 54cm高(台座込)

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流れるような簡素な大衣だけで、装飾を一切排除した釈迦立像。やや長めの首を伸ばし、半眼の眼差しは衆生の苦悩と未来永劫を見据えているかのようだ。青玉石製のものは極めて珍貴なものである。
参考 北斉・仏立像(青州市博物館蔵)
   北斉・釈迦立像(根津美術館蔵)

 

 

 

 

 

 

(7)唐代(8世紀) 仏舎利塔(鍍金銅製・提梁壺・仏舎利)  32cm高 台座13×13cm

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印度風のストゥーパ(仏塔)に、誕生仏・供養者・釈迦・菩薩・比丘・七枝仏・化生仏・飛天・龍・獅子などを豪華に配している。ストゥーパ内部には、金象嵌された漢式提梁壺、それに半透明の貴石に骨らしきものを埋め込んだ舎利を安置している。伝西安市付近出土
<銘文76文字>
「唐開元八年造此像以一記人」
「開元八年二月二十六日孚□郡尉莆思忠一為国王帝主一為七代先祖敬造此仏一鋪全徳□悲□養時□□向別桴李□□□身金□光禄□□軍桴龍□酉貴」西暦720年に孚□郡尉の莆思忠が発願して造仏したことがわかる。

その他の作品

(8)北斉(6世紀後半) 三尊佛・仏伝図 (石灰岩製) 38cm高 台座29×15cm

中尊は張りのある顔と体躯で、蓮台も膨らみを感じさせる。脇侍菩薩は腹を突き出して立ち、顔つきも愛らしい童子形を呈する。このように全体的に丸みを帯びた彫刻は、北斉期の新様式の一つである。背面には仏伝図(摩耶夫人受胎と釈迦誕生・涅槃・舎利供養)が三段に描かれ、さらに側面に唐草と風神雷神が刻される豪華な作。
参考 北斉・三尊仏龕像(大阪市立美術館蔵)
   白鳳・橘夫人念持仏(法隆寺蔵)

(9)隋代(7世紀初) 菩薩立像 (大理石製) 62cm高(台座込)

腰の位置がやや低く、硬直気味の直立不動を感じさせるフォルムは隋代彫刻の特徴である。
参考 北斉・菩薩立像(東京国立博物館蔵)

 

(10)北宋・遼(10世紀) 八角七重仏塔 (鍍金銀製) 42cm高

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二重蓮弁文がめぐらされた台座に立つ塔は、各層内部に四体の仏像を安置し、緻密に作り出された欄干・格子窓・龍形梁・風鐸がそれぞれに配され、最上階の屋根には宝珠と水煙を吐き出す龍神たちがめぐる。10世紀頃の北方工芸技術を代表する豪華絢爛な装飾的仏塔となっている。伝内蒙古赤峰市出土
参考 水晶金仏舎利塔(『耀世金采-契丹王朝黄金瑰宝』所収)

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Gallery SHANBARA
日中水墨名家作品を展示、販売する水墨専門のギャラリー。
住所:〒113-0031 東京都文京区根津2丁目11-3奥平ビル1F
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2016年10月17日