イベント情報
2016年3月1日
小間の茶事
この5月末に小間の茶事を催すことにしています。
茶室建築の中でも特に小空間の小間は、我が国の独自の建築で、日本人が到達した木の建築の粋といえます。
わずか三畳の狭さ。ここに客三人と亭主の四人で繰り広げる四時間には、茶の湯のエッセンスがあるようです。
何度催しても飽きず、面白さが益々募る茶事。
先人が編み出した人との交流の仕組みは、生きていることを実感させてくれるものです。
小間「樵隠庵」を造営してから30年。
この席で交会したひとはわずかですが、私には思い出深く残る人たちばかりです。
茶室はただ茶事をするための空間です。
先人はこの小空間にとてつもない情報と信号を組み込んできました。
これはまさに人間の喜怒哀楽のステージといえます。
小間席には、なぜ、このような入口(躙口・にじりぐち)を設けたのか。
深く人間を識るヒントが隠されています。
半年前から準備をしていますが、露地を掃きながら、お招きする人の顔を想い浮かべ、台本のない会話に思いを馳せています。
今年の黒椿(TP写真)は深紅が浅く、落ち着いた濃い紅となりました。
椿の盛りも過ぎました。
2016年3月1日