太田新之介作品集
「色絵春秋絵水滴 対」 H5.5 W7.0 D4.5cm (有田焼)
左 「織部桃形水滴」 右 「志野桃形水滴」H7.5 W11 D8.5cm
造作余話
書をかくことが好きだったせいか、文房四宝である筆、墨、紙、硯を蒐めてきた。
現在は、筆と墨は奈良製の油煙墨か古墨の松煙墨、紙は全国に産する手漉きの和紙、硯は明代の古端渓を愛用している。
四宝の周辺の文具は折々に縁のあるものを使っていたが、気に入るものは少なかった。
そこで筆架や水滴は自分で作ろうと思い、茶道具などと一緒に作ることにした。
ところが細工物の文具は中々難しく、水滴などは水の切れや数滴を上手く出すため微妙な口作りや穴あけが要る。
30個ほど作ったが気に入るものは半分ほどで、写真にあるものは現在愛用のものだ。
10個ほどは友人に贈っているが、先日連絡があり、今もその水滴を使ってくれているとのこと。
懐かしく何故か嬉しい知らせだった。
普段、その存在を忘れているが、折にふれ使っているものは愛着が湧く。
人間の付き合いも水滴の付き合いも同じようなものだと思う。
素人ながら筆を持つ時間を得ていることは有難いことだ。
先師は「書は君子のたしなみ」といった。
写真: 下 「織部 秋草文水滴」 H3.5 W4.5 D3.3cm