太田新之介作品集

2017年10月2日
作品-21 茶道具-茶碗

 

黒泥茶碗  銘「深山」

楽や大樋の黒や、織部や引出し黒ではない、黒々とした巌のような黒茶碗を創りたいと思っていた。

土は1200万年ほど前から堆積してきたという泥炭土。

薪窯でしかできない焼き締め物が理想だった。
富士川窯の陶芸家・佐々木泰男さんが焼いてくれた。

銘は道元禅師の偈「深山雪夜草庵中」(しんざんのせつやそうあんのうち)から採った。
抹茶の緑が映える大振りの一碗である。

 

 

萩茶碗  銘「雪夜」

萩焼は、フワッとした柔らかさが特色で、使うと七化けといわれるほど色に変化がでる。一楽、二萩、三唐津といわれるほど茶の湯の茶碗では代表格である。

フワッとしない、カチッとした焼き締め物のような萩はできないものかと思っていた。

佐々木泰男さんがその要望に応えてくれた。この茶碗はの萩釉は佐々木さんが掛けてくれ、そして一週間焼てくれた成果品である。表面はフワッとして白雪のような化粧をして、尚、下地はカチッとして妖しげな紫の色・・・。昔の彼女を連想した。
掌に取り即座に「雪夜」と付けた。

二碗とも坐禅の師太田洞水老師が好んで揮毫した禅語「深山雪夜・・・」にちなんだ。

黒と白が揃った。
何事も黒白つけたがる性分からではなく、この黒白は、この世は男と女、という程度のものだが、茶事で濃茶と薄茶のそれぞれ主茶碗にしたら面白いのでは、と思っている。

やきものも建築も、常にアバンギャルドだ!


2017年10月2日