太田新之介作品集
2013年5月31日
作品-8 手描き帯
造作余話
30代の頃から着物や帯を手描きでデザインする楽しみを得た。
動機は家人に買ってやろうとした手描きの塩瀬の帯が、値段の割には絵が良くなく、当時染色作家の友人が自分で描いたらどうか、とすすめてくれたことによる。
指導を受けて描いてみると何とも面白い。書と同じで一発勝負が性にあっている。
以来、私が描いた帯は、個展を開くたびに求めてくれる人が多くなり、今では5、60人の女性の胸を縛っていることになる。
着物も10枚ほど描いているが、特に即興で描くことを覚えてから、病み付きになった時期があった。
何しろ、私の描いた着物や帯を締めた妙齢の女性に会うと、まあ何というか、誰でも美人に見えてくのが不思議なのだ。
いまでは紙や布ばかりではなく、板、焼物、印材まで描きたいと思うものには直ぐ描きたくなる。
この性分が好いのか悪いのかは分からないが、着物姿の女性を見るたびに胸が騒ぐのは止められない。
歌の文句ではないが ”どうにもとまらない~”のである。
さて、いつまで帯を描くのか。胸を締めてくれる女性がいる限りかも……。
( 塩瀬帯 詩文蝶・蜻蛉文 漢詩 小野田雪堂詩)
(タイ製バナナ布帯 双魚文)
(タイ製バナナ布帯 陶磁器文)
(結城紬帯 菜の花の上を飛ぶ木造のUFO)
(自詠都々逸 ”連れて行きたや三百の年へ 粋な蛍が道ょ照らす”)
2013年5月31日