太田新之介作品集

2017年8月7日
作品-19 茶道具-香合

1.香合5種   貝2 赤松1 北山杉1 錺金具1

5月から10月頃まで、湯を沸かす釜の炉は塞がれ、風炉を使うようになる。
夏場の暑さを避けるため火を客から遠ざけるためだ。

この時期の香合は陶磁器以外のものを使うことが約束となっている。中に入れる香も練り香から白檀などの木片に変える。

桃山時代から香を席中に焚くことが始まったというが、元をただせば仏教伝来と共にインドから伝わり、仏前に芳香を献ずるものだった。やがてそれが貴族の生活を彩り、王朝文学の世界に広がり、香道が起こり、茶の湯にも取り入れられ、香を入れる香合は炭点前には欠かせない道具となっている。

私は茶事毎に茶杓や香合を作ることにしているが、香合は茶杓と違い材料のバリエーションが広いこと、多様な作りができるところが面白い。

写真にある貝香合のハマグリは、美味しく食べた後に漆を塗り、金やプラチナ蒔絵に仕上げ、木片はいずれも茶室「樵隠庵」造営時の用材の残りで、錺金具は名工森本安之助氏の手になるもので、熱海・水晶殿改修の際に龍文様の調子を見るために試作した銀の薄板を、曲げて身を作ったもの。

それぞれは夫々の茶事の趣向により作り、客に喜ばれるのを使命としている。
褒められて伸びるタイプの私は、褒められると差し上げる癖があるため、既に十数個の所有権は移っている。

茶事の面白さは催す本人でなければ解らない。
その面白さのを演出する中に香合や茶杓など自作の道具がある。

何度催しても飽きない茶事は、日本人が発明した興奮快感装置に他ならないと思っている。

さあ、次は今朝採った蓮で作るぞ!


明日は明日 今日は今日とて 過去は過去 今ここに在る 今を生き往く

 


2017年8月7日