ギャラリー珎玄齋 オークション出品履歴

オークション出品 8/21~8/27

№-52
カンボジア・クメール黒褐釉双鳥形壺12~13世紀

クメール陶は、9~13世紀に現在のカンボジアを中心として栄えたクメール族の王国で作られた陶器をいう。土器から始まり、9世紀後半から灰釉をかけた陶器が作られ、クレン・タイプと呼ばれる初期の胎土が灰色か灰白で、透明性の灰釉がかかるものは希少という。クメール陶を代表する黒褐釉は10世紀末から始まり、端正で格調高い姿は東南アジア屈指のものといわれている。

作品説明
時代12~13世紀
オムコイ出土品
クメール陶の特色のひとつといわれる動物形のもので、二つの嘴と三つの目を持つ鳥形の壺で、姿は端正で精巧な作りである。
鳥や象型壺の多い中、双鳥をデザインした異形のものは希少といえる。
同じ形状の壺の中に石灰が入っていたことから、キンマの中和剤の石灰入れと考えられている。
同じ黒褐釉の碗や鉢があることから、11~12世紀前半に作られた可能性もある。
経年によるスレ、風化はあるが、キズ、欠けはなく完品といえる。
洗浄済。

サイズ
径:13.0  高さ:10.0センチ

 

№-54
タイ・サワンカローク鉄絵草花文広口瓶15~16世紀

タイ古窯のスコータイ窯とシーサッチャナライ窯の焼物は、インドやアフリカそして日本にも輸出され、その多種多様な器種や文様構成は多くの人々を魅了してきた。
中でも、日本で「宋胡禄」と呼ばれた焼物は、茶の湯の主要道具として珍重され、桃山時代以降に数多くの茶事に用いられた。
宋胡禄という珍しい名称は、タイのサワンカロークという都市名が訛ったものといわれ、スコータイ窯とシーサッチャナライ窯の製品が集積・経由され積出されたことによるという。
両窯が主に操業していた時代がスコータイ王朝で、13世紀初頭に建国されたタイ民族による初めての統一国家だった。王朝は盛んに窯業を奨励し、外貨獲得の主要な産業に育てた。
スコータイ(サワンカローク)の陶器は3種別に焼かれていて、輸出用の最高級品は青磁などを、寺院用や人形などを、魚の絵を描いた皿や鉢、碗を主とした窯と分かれていたという。

作品説明
時代15~16世紀
ターク県オムコイ出土品
口の開いた品の良い姿と鉄絵ブルーが美しい瓶である。
粗く鉄分を含んだ胎土の瓶に鉄絵の草花文を施し、白濁釉を掛け焼成している。
埋め尽くされた文様は高級感に充ち、サワンカローク陶のひとつの到達点を示す。
高台内の立ち上がり部に窯キズ、経年の風化はあるが、完品といえる。
水洗浄済。

サイズ
口径:4.1  胴径:9.1  高さ:16.9センチ

 

№-55
タイ・サンカンペーン褐釉印花魚花文皿14~15世紀

タイ北部の古窯は、1250年頃パヤオの開窯が最も古いとされ、サンカンペーン、ランパーン、サンサイ、カロン、パーン窯などが1400年後期に最も栄えたとされる。
サンカンペーン窯が築かれたのは、1296年のチェンマイ遷都後といわれ、雲南から南へ逃れたタイ人によって営まれたとされている。窯業の歴史は14世紀初頭から16世紀中葉半まで続いたという。
サンカンペーン陶は謎めく焼物といわれる。表面の煌めく仕上がりはカロンやスコータイと類似し、クメールのような掛分け釉との類似性も示すが、基本的には異質のものとされる。窯の構造や焼成方法、器の形状、成型技法などタイの他の陶磁と異なり、伝統的な類似点が少ない。中国的な影響も他の窯より少なく、輸出用でなかったためか地味とされるが、タイ古陶磁の中では独自の意匠スタイルと古格を有するものとして、高い評価を得ている。

作品説明
時代14~15世紀
オムコイ出土品
褐釉の皿底に二尾の魚が印花で描かれている。
円の中に泳ぐ魚は周囲の線刻と相まって太陽の意匠にも見える。
褐釉も光沢を呈し美しく、サンカンペーン陶の特色を完備している作品といえる。
口辺周りの釉は無く、経年による劣化が見える。表面全体には特色である気泡痕が出ている。
希少な良品といえる。
洗浄済。

サイズ
径:21.0  高さ:5.0センチ

 

*オークション出品 8/14~8/20 №46~50は未掲載
8/28から中国陶磁器の出品紹介開始

 


ただいまの出品につきましては
ヤフオク
ギャラリー珎玄齋
https://auctions.yahoo.co.jp/seller/g_chingensai

よりご高覧ください。

2017年8月21日