日本のすがた・かたち

2017年6月1日
持論


この頃自分が興味を覚えることそのものに興味を持つことが多くなりました。

元来好奇心が旺盛の質で、何にでも手を出すのは子供の頃からでした。
新しいものには目がなく、怖じるということはなかったためか、危ない目に遭ったことも一度ならず。

特に人間に興味を持つことが多く、そこから学ぶことの楽しみを得てきたように思います。

ここ10年でインターネットやAIにより世の中は激変しています。全ての人や物に情報が付けられ、ネット販売が増大し、人の生き方も多種化が進み、名刺を何種類も持つ者が多くなっています。まるで怪人二十面相時代の到来です。

私たちは日頃情報を頼りに生き、情報に笑い、情報に泣き、情報に翻弄されながら暮らしています。この情報という得体のしれない存在は、地球に生息する人間の今とこれからを左右する大きな存在になるは必定です。

 

「お願いがあるのですが、息子夫婦が米国に永住することになり、出国前に日本文化の粋に触れてみたいと、茶の湯の茶事を体験したいといっています。お茶事をして頂けないでしょうか。」

長く茶道に勤しみ、いつもお世話になっている母御の頼みでした。
子息は写真家で国際的に活躍している40代とのこと。
ならば、と快諾しました。

創作域の活動をし、外国で暮らしていると生まれ育った日本の文化を知りたくなり、それを体験し浸ってみたくなるのは自然の流れです。

母御を正客に三人の客で小間の茶席で家人がもてなしました。
一会は感動の連続のようでした。

 

日本文化は古神道、日本仏教、皇室、それに茶の湯というのが私の持論です。

自分の存在に気付くためには、先祖の過ごしてきた時間を遡り、その時代ごとに創り出された文化、つまり言葉、習慣、技術、作法やあるべき姿などが人々に「知」として共有されたのかを知り、それがどのようにして現在の自分と繋がっているか、という模索が必要となるのです。。

 

情報が溢れる米国に渡り、人種の坩堝の中で己を見失わないために日本文化を識る。私は彼の自己の存在に対する意識の高さを称え、応援したいと思いました。

      木漏れ日や 渡航を守れ 野の仏

 

日本人が国際的に活躍するには、自国の文化の香りを身に纏っていることが必要で、決して英語が話せれば国際人になれるという次元ではないと思っています。

 

どの様に生きても一生は一生。先人の求めたところを求め、生きていられるのは嬉しいことです。

 

写真:上 「樵隠庵」躙口

下 三島「龍澤寺」の石仏

 

 


2017年6月1日