Sのプロジェクト
私には夢があります。
日本各地に木の建築が沢山造られるようになる夢です。
長く建築の仕事に携わってきて思うことは、縄文時代から造られて来た我が国固有の木の建築は、日本列島の環境保全や、生きものとしての人間にとって最も相応しい建築といえるからです。
木の建築は木、土、石、草、紙などの他、自然素材から作られている漆や陶器などに依って造られたものをいいます。鉄、銅、アルミ、チタンなどの工業製品もそれに加わりますが、主体となるものは壊れてからほとんどが大地に還る素材で構成されているというものです。
現代建築で、この木の建築というイメージに最も近いものは『伊勢神宮』の諸殿です。
素木と草(萱・かや)で造られた神宮の社はまさに木の建築のお手本といえます。
木の建築に居住したことのある人たちは、その快適さや精神性の豊かさに気付いているはずですが、現代の子供たちの多くは、見栄えは良さそうですが、余り勧められない住環境の中に暮らしています。一例が、コンクリートや鉄骨で造られた本体に、ビニール製などの有害物質を含んだ仕上げ材に囲まれ、しかも密閉された空間です。
私はかねてより公共建築物である小、中学校は、木の建築で造るべきといい続けてきましたが、少子化や高齢化により人口が減少して行くこと、統廃合による学校建築の再考が促されるようになってきたことから、少しずつですが、2階建ての校舎が考えられるようになってきたようです。
江戸時代は木造の学校が建てられ、明治以降は文部省が定めた建築基準により100年経っても使用できる校舎が各地に残りました。最近、世界遺産に登録された「富岡製糸工場」も木の建築です。この30年ほどの間に造られた鉄筋コンクリートや鉄骨造の建築に、将来、その地の固有の建築文化を遺こすものは無くなる可能性があります。
これから木の建築が、いかに現代人が直面している問題に呼応できるものであるのか、少しずつですがお知らせして行きます。
その呼応の大もとは目に見えない神仏から始まります。皆さんが今夏に熱狂する夏祭りがその原点です。
「Sのプロジェクト」は最も先鋭的な木の建築造営計画で中身は祭事だと思っています。
写真 天城の森「お野立ち所」全国植樹祭、育樹祭メインステージ(掘立式の木の建築です。設計:太田新之介)
下 弥生時代の竪穴住居(仮想復元ですが掘立式です。少し改修すれば住めるような感じがします)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「タマで~す。木の建築はお祭りのお神輿と同じ木でできているニャーン。今年もわっしょいだニャーン」