日本のすがた・かたち
生まれつき身体が弱かったと聞いていましたが、今年で古稀となりました。
耳鼻咽喉系が弱いことや夜遊びが少なくなったことを除けば、ここまでは文句のない日常を過ごして来たように思います。
21歳の時大きな事故に遭い、九死に一生を得てから古来稀なりの年を迎え、今は不思議な気分です。
丈夫につくってくれた親兄弟に、また来し方の師友、家族に感謝するところです。
人は、「さあ古稀だ!これからどうして生きようか」、との思いのようですが、私には歳をとった実感が少なく、覚めた眼と横目で自分を観ているせいか、「さあ、どうだ!」というところはありません。
有るのはただ単調で刺激的な毎日です。
これから続けて行きたいと思うことは、自分の持っているものを若者たちに受け取ってもらえたらいいな、という活動です。
中身はすごく単純なことですが、先人が遺し、私に伝えてくれた記憶を、次に伝えられれば、ということです。
何故かというと、かつて私が伝えられ生かされたように、きっと次の時代を生きる人たちにも役立つと思っているからです。
伝えることを一言でいえば、「先人の美くしいすがた・かたち」です。
これは大それたことではなく、経験豊富なジイさんのできそうなこと、という感覚のものです。優れた伝統のエッセンスを得て感動する若者の顔を見て過ごす日々は、面白くワクワクするものです。
十年前から茶の湯のステージの造営計画を始め、二年前に同志と「樵隠会」を立ち上げました。
構想立案から様々な調査や地元折衝、また金融機関と協議をしてきた結果、有志により造営を目的とする法人(会社)を設立して頂くことになり、現在準備中です。
私に備わっていないところをフォローして頂き、現実的な行動を起こして頂けることは望外のことです。新メンバーも加わるという新会社に大いに期待しています。
私は自分の得意分野で活動させて頂き、先人はどの様にして木の建築を造ってきたのか、その智慧と歴史を次世代へ手渡せたらいいなと思っています。
今、身も心も充実し赫々と燃えています。
写真: 熱海・「水晶殿」の上棟式(祭主)
TP: 「青不動」 自画 (私の守護仏)
図面画像: Sのプロジェクト「三島御寮」造営計画図