日本のすがた・かたち

2012年8月6日
丹波の土

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今、丹波の原土の感触にはまっています。

この二日間は作品の窯詰めでした。もうすぐ窯に火が入り、約7日焚いて、今月末には窯出しの運びです。

丹波の原土は篠山周辺で採れる土ですが、この小砂利入りの土の感触の良さは格別です。

焼物の土は日本全国に分布しますが、やはり六古窯といわれる地方に良土があるようで、焼き上がりの黒い艶の丹波は現在私が最も好むものとなっています。

 

 

毎年一回、陶芸家の窯に入れて頂き焼物を作っていますが、目的は次の茶事に使う道具の調達です。今秋催す「口切の茶事」には、よくできた茶入や茶碗などをデビューさせる予定です。

お招きした客が、席中、「その茶碗は桃山期のものですか」、「どなたか名のあるお方の作では…何かご銘でも、」といった問いかけがあるといいなあ~ などと妄想をめぐらせ、独り悦に入っています。 

去年の4月は、津波に呑まれた母親の名を呼ぶ女の子の姿に涙しながら、今年はオリンピックの深夜放送に興奮しながらの作陶でした。

約1万8000年前から日本列島には焼物があったようです。火山列島なるゆえの産物です。作りながら、悠久な時の流れと、大きな空間を造る建築も小さな空洞の香合も、同じ思考回路からできることを改めて感じています。

 

焼物を作り始めてから40年近く、志野、有田、備前、信楽、伊賀、そして丹波。刻々に移りゆく時を、得もいわれぬ触れ心地の土と、想像する焼物のすがたの中で、今年は立秋を迎えました。

 

 

 

 

 

 

 


2012年8月6日