日本のすがた・かたち

2021年5月30日
道連れ

陽気に誘われて久し振りの散歩。
運動不足も極まってくると老骨に鞭打つというような表現に近くなります。

川辺に寄ると何時もの如く、肥満気味な鯉が群れをなして来ます。


(今日エサは無いぞー、皆丸く太いなぁー)

去年の秋から随想1冊と3冊の小説を書いていました。
いずれも同時進行で、複数冊は久し振りです。
その随想以外の3冊は幻の書物で、文字原稿の代わりにスケッチや模型、図面、見積書として表現される建築の設計図書というものです。


(岩、何時もの翡翠はいないなぁー)

建築の設計は文学の領域でもあるとする私は、基本構想から基本設計までの組み立ては、一編の小説を書くのに酷似する作業としています。
主人公をはじめ登場人物を配し、企画から完成までのスケジュールを組み、ストーリーをすがた・かたち(ドラマ化)にできるよう、脚本、構成、演出をし、場合によっては出演も考えています。


(轟音が胸にせまる。「お前、今それでいいのか?」と…)

どうやら私の理想とする建築家は、小説家であり、企画、構成、演出を手がけ、尚且つ家具や照明器具、食器類などをデザインし、造形家、画家、書家などに変身しながら建築を造ることができる者ということになり、それを追いかけて46年、一言でいってしまえば「多重設計職人」の態です。


(まるで龍が昇ってゆく…)

小説は5月になってほぼ書き上がり、残る随想の『山月庵』は現在、最後の追込みに入っています。

建物の工事が始まる頃に全ての筋書きを終え、後は完成までストーリーをなぞり、今日のこの時から完成まで協同者たちと実践して行く…。これが私流の仕事のやり方となります。

コロナ禍中、大勢の人たちが関与する建築造営は粛々と進行しています。


(滝も上から観れば、おとなしいなぁー)

数カ月滞ったブログのアップも今日から復活です。
明後日は建築事務所満46年の創立記念日。

今日も願心を道連れに妄想をかきたてています。

 

 

 

 


2021年5月30日