日本のすがた・かたち
よく見れば空と光と水にさえ
いのちと同じたのしみをみる
平面の2次元に高さを与えたものが3次元です。
それに時間を乗じたものが4次元です。
正方形(2次元)の四隅から直線を立ち上げ、四角垂のかたちをつくり、その角々の垂線に次元を与えると、高さの3次元、時間の4次元、勢力の5次元、志向の6次元になります。
凡そ宇宙の真理は、この6次元の思考で解読できるといわれます。
6次元とは4次元に宇宙のエネルギー(勢力)と宇宙の意志(志向)を加えたというものです。
6次元は少し難解なところがありますが、建築の設計という仕事でその構想を練っている時に、ふと気付くのが4次元をもとにした4面思考をしていることです。
物事は、4つの面から思考すれば、真理に近づくといいますが、4つの面はそれぞれの短所を補い合うことで真実や真理を見出すことになっているようです。
建築の設計は、とどのつまり、「規模」「価格」「対応年数」「デザイン」の、4つの面から決まるようです。この4面思考は色々なところで役に立っています。たとえば、駅弁を選ぶ時も、「大きさ」「値段」「賞味期限」「中身」から決めているようなこともそうです。
設計の4面思考の中心は、建築主という個人的な範疇に入りますが、それに「文化をかたちづくるもの」や「環境や芸術」というところの社会的な接点をもつところまで入れると、6次元の世界に入りこみ、文学的思考のような空想の世界となるようです。
三島由紀夫は「文学は建築だ」といっていますが、その建築の設計思考回路は、小説を書く思考回路と一緒のようです。ストーリーの主役はもちろん人間ですが、その人生模様の展開される中を往来しているのが、4面思考といえます。
その誰が、どのように移動し、どこの空間で、何をするのか。
その際の、思いや感じ方はどうか。喜怒哀楽の度合いはどうか。
設計とはその4面から想像できる思考反復作用のような気がします。
4面思考を6次元に引き上げることを、時折試みていますが、数年前から祭事「和の心にて候」の企画・構成・演出をするようになってみて、それを実感できるようになりました。
地球上の生きものは、時間と空間のなかに生まれ、そして時間と空間のなかで生を終えます。太古に生命が生まれてから今日に至るまで、この現象に変わりはありません。
この頃になってようやくその分けが分かりかけてきました。
生きものは日常の営みに何の差もなく、生命がなくなるまで運動していて、その時そこに展開されているだけなのだ、と思えるようになりました。
そこで今、4面思考をしながらやっていることといえば、メダカの繁殖です。
宇宙で活動してきたメダカは、私と同じ生命で、蓮の鉢で越冬した2匹が、現在数百匹に増えています。
さて、この増え続ける生命をどうしたものだろうか。