新之介文庫・近日発刊予定
(近日発刊)
磯千代(いそちよ)姐さん三味線かかえ、粋な兵衛(ひょうえ)と都々逸で、この世をチクリと刺している。
所は深川お茶屋の二階、香が焚かれた四畳半。猫のタマもニャンとして。
遊び人と芸者と猫のタマで織り成す都々逸(どどいつ)の世界。
時事風刺を上、中、下の各250頁3巻にまとめたニンマリの都々逸集。
あらすじ
1.初座敷ね
「おこんばんは 兵ちゃん本年もごひいきのほどお願い申します」
「磯千代姐さんこちらこそ」
「ニヤーン、もう立春だニャン」
「タマ、旧正月もあるんだよ」
「兵ちゃん何処かへお出かけだった?音沙汰なかったから寂しくて」
「冬籠もりだよ」
「まあ、どうせ兵ちゃんのことだから誰かさんと温泉旅行でも…」
「引き籠り変態症候群ってやつだね」
「タマそれ好きだニャーン」
「お前は『袖引く色気チック症候群』でしょ」
「姐さん久し振りにいってみようか」
「そうねじゃ、アタシから、…ん」
♪ 新玉の 年の初めに都々逸唄い あの世この世を谷渡り
「おう、ウグイスが出てきたね。谷渡りか…深い意味にも取れるね」
「兵ちゃんもどう?」
「いってみるか」
♪ 君とふたりで酌みあう酒は 年の始めのランデブー
「嬉しいわランデブーなんて。ロマンチックねぇ」
「もうひとつ…ん」
♪ ここは極楽ふたりの世界 抜けた色気が恨めしい
「あら、まさかアタシのことじゃないでしょうね」
「きっとそうだニャーン」
「コノヤロ、今年は成長したかと思えば、またタマメタボめ!」
「姐さんまだ色気があるから心配ないよ」
「兵ちゃん優しいのネ。まあ歯茎になってから女は勝負って言うしネ」
造本体裁
判型:電子書籍
発売日:近日中発刊予定
著者:太田新之介
発行:新之介文庫