日本のすがた・かたち

2009年7月19日
雪のかたまり

%EF%BC%A8%EF%BC%B0-222.jpg
夏雲の湧き立つ
果てに雪が舞う
宇宙(そら)ゆく水にわれもあるかな

                                                             
今日も重さ30トンほどの雪の塊が、地球に数千個降り注いでいるそうです。
1997年5月30日のテレビ、新聞にNASAの衛星画像データの分析から米アイオワ大学のルイス・フランク博士が、大量の「宇宙の雨」が地球に降り注いでいる証拠を発見したと報じました。
フランク博士によると、地球に降り注ぐ「宇宙の雨」は、重さ20~40トンほどの多量の水を含んだ「雪玉」で、高度千キロ~2万キロで分解して雲の一部になり、この雪玉が一日当り数千個降り注いでいるというものです。それは、1~2万年で地表全体に約3セ ンチの水がたまる計算になるといいます。
現在ではこれが事実と判り、地球の海の起源に関する「彗星」説は後退し、「宇宙の雨」説が有力とになっています。また地球に生命が誕生したことについても、この「宇宙の雨」に起因するとの説が注目されています。地球上に発生した生命体は、”宇宙から飛来した水から生じた”、という可能性もあるとのことです。いずれにしても無味乾燥と思われた宇宙空間には多量の水が存在していて、億単位の時間経過の中では、惑星の海を形成するほどの水の供給源になっていることが分かってきたわけです。
地球上の水の約97パーセントが海の水といわれ、残りの2パーセント以上が北極や南極の氷山で、私たちが飲料水として飲んでいる水は1パーセントにも満たない量といわれています。
その飲み水と人間の関係はどうかというと、大量にある海水は飲むことができず、動植物は雨水で生きていけますが、人間は雨水だけでは生きていけません。
不思議なことですが、人間は雨水が一旦地下に潜り、地中の岩石などの間を通って地表に湧き出た清水を飲まなければならないようになっています。先人はそれを知っていて、「宇宙の気」の働きがそうさせている、と見抜いていた感があります。
妙なる自然の働きを察知してきた先人は、水はただの水にとどまらず、何か目には見えない天地の「気」の働きにより、人間の生命維持だけでなく、罪、ケガレさえも祓い、健やかに暮らす作用があると知り、それを伝えてきたようです。古来、日本各地で「水神」を祀るのを常としてきたことを見ればそれが解ります。
世界にも稀な水の美(うま)し国にいて、日頃は水のありがたさを忘れがちですが、数万年もの昔から、全ては「宇宙の気」によって生かされている、と看破していた祖先たちがいました。
『古事記』に天地創造の時に出現したという、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)高御産巣日神(タカミムスビノカミ)、神産巣日神(カミムスビノカミ)の3柱は「ヌシ、ムスビ(目に見えぬものどうしを結びつける)」という宇宙の本理(ことわり)を示しているように思えます。
今、冷たく美味しい水で喉を潤しながら、今日も宇宙から雪のかたまりが地球に降っているのだ、と想像しながら、自然科学は先人の感じたことを数理的に立証しているだけかも知れない、と遠くに湧き立つ夏の雲を見ています。
                                                                                     


2009年7月19日