日本のすがた・かたち
先週、台風19号は狩野川台風級と聞いて、「さあ大変」、と対策を考えました。
中学生の時に1200人もの死者が出た災害の生々しい記憶が蘇り、手を尽くしてみました。
漁師町に育ったせいか、台風襲来と聞くと血が騒ぎ、二日ほど一気に大工に変身したものでした。
結果は何事も無く、知り合いの方たちも無事で胸を撫で下ろしたところです。
TVを観ると今日までにも広域に甚大な被害が出ていて、被災者が後始末に追われる姿に胸が痛む思いです。何はともあれ一日も早い復旧を願うばかりです。
人間は自然現象の前には非力で、土木建築関係に就く身にしてみれば、常に想定外と経済性とのはざまで揺れ、設計の最低基準を建築基準法におく他のない仕事となっています。
百年に一度あるかないかの地震に対し、想定外の設計強度を要求すると、とてつもない不経済な建築となり、常に安全と経済性の葛藤に苛まれています。
災害が起きる度に思うことは、人間の都合で造ったものは必ず壊れる、ということです。地震、雷、台風、竜巻、酷暑、大雪、などに何時までも対応できる建造物はない、ということです。
いつの世も自然の猛威の前に頭を下げることの繰り返しで、結局、自然に逆らえない限り、それに順応する以外はなく、災害が起きる度に先人の教えに照らし、知恵を絞り、可能な限り安全かつ経済的に造って行く以外にはないようです。
甚大な被害はなお広がっていますが、復旧に向けた動きも広がっています。私も微力ながら何かしらの援助ができればと思っています。
今回の災害により、また土木や建築の法律が改正されることになると思います。気を取り直して次代に向け、被害の少ない環境を作る工夫をすることが私たちの役割だと改めて思いました。
また、近く起きるとされる東南海地震や火山噴火のことを考えると、災害列島といわれる日本列島には原発は相応しくないのでは、と思います。原発はもはや国の政策上の事業であって、実際のエネルギー確保には疑問だらけのところがあります。今回の災害を教訓として廃炉を進めるべきと考えます。
自然科学は人類を健やかな生活に導くといわれてきましたが、その応用科学は、金儲けの使い走りになっているような気がしています。
自然の声に耳を澄まし、プラスチックゴミではありませんが、自然の一員であることを忘れずに、自然界に存在するとした先人に学び、自然を畏れ、神仏を敬う生活をめざすことができればと思います。
今朝も先祖さんにお参りし、子孫の行く末に力を授けてくれるよう念じました。
対策は講じても、災害は来るときに来るものなので、もし遭遇したら、できることをして命を繋げて行くより方法が一番と思っています。
「災難に逢う時節には逢うがよく候。死ぬ時節には死ぬがよく候。是はこれ災難からのがるゝ妙法にて候。」良寛戒語
さあ、気合を入れて、木造建築を造って行くぞ!!
写真:上 12日 伊勢神宮五十鈴川の濁流(内宮は現在位置ではなかった(自説))
中 平常時
下 首都圏外郭放水路「地下神殿」台風19号では12日の流入開始から15日7時段階で累積排水量は約1140万平方メートル(50メートルプール約7600杯分)を江戸川に排水。歴代3番目の水調節総量を記録。