日本のすがた・かたち
山川の境にかすみたなびきて
春の野は照り 山は雨かと
ものごとには是非善悪があるといわれています。
良寛さんは辞世の偈(げ・詩)に『首をめぐらせば七十有余年 人間の是非 看破するに飽たり…』(生きてきた70年余りを振り返り、今の心境は、というと、人間の是非善悪を断ずることに飽きた。もともそんなものはないのだ・・・)と詠んでいます。
人間、七〇も過ぎると、このような心境になるのかと思うと、何となく嬉しくなってきますが、日常、私たちはこの是と非の判断の間を往来しながら、そこに喜怒哀楽をみて生きているようです。
日本人は昔から、ものごとを決めつけないことを善(よ)しとしてきたふしがあります。是も非も表裏一体であり、見る方向が違うだけで、向こう側から、また四方から、また天地からも見てから断ずるように、と教えてきたように思います。
そこにはものの本質や価値といったものは普遍的ではなく、真実も、それを真実だと信じている人だけにとっての真実で、肉親にはさえ当てはまらないものだという前提があるようです。
全てが悪もなければ全てが善もないもので、己の価値観でのみ断じることは、己の価値観を放棄することと同じで、人とのほのぼのとした交流は霧散することになります。
古今東西、皆同じで、人間同士の諍(いさか)いや離反の原因の多くはここにあるようです。
十人いれば十人分の価値観があり、まずそれを認め、それを集めて和するものに変えてゆく…。先人の智慧がここにあると思われます。
春の野に出ると、川と山の境を霞が蔽う景色に出会います。
それは境をははっきりとさせず、曖昧に相和す景色のように見えます。日本人はこれを美しいものとして潤いのある精神や情緒を育ててきたようです。
私は今、山と川の境を包む霞を和するさまとした先人に倣い、春の陽を背に受けながら川の流れの向うを見ています。
良寛(りょうかん・1758~1831) 江戸時代の禅僧(歌人、漢詩人、書家)
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第3回 「雪堂茶会」
ごあいさつ
春たけなわの卯月18日は、書家小野田雪堂の
誕生日に当たります。
雪堂先生は4年前雪堂美術館を設立され、その年に80歳で他界されました。
先生の生涯は波乱に富んだものでしたが、そのお人柄を慕い、薫陶を受けた方は少なくありません。
晩年、親しくされた建築家太田新之介さんもそのお一人で、太田さんは美術館設立に協力され、
ユニークな「雪堂門」を設計されました。
先生は開館後に、三島市で12年続いていたお茶の勉強会「樵隠塾」を招かれ、新たに「鎌倉・樵隠塾」として開講されました。
その後、講師の太田さんとの交流が続くかに見えましたが、第2回目の10月の講座を見ることなく逝かれました。その先生の遺徳を偲び、またその書を後世に伝えようと催されたのが「雪堂茶会」です。
お茶会は、お茶の作法や服装にとらわれず、誰でもが美術館の床に座って日本の美しさを味わって頂けるものと思っています。
特に子どもたちを招待させて頂き、皆さんと和みの時を、また先生門下の兄弟弟子である玉木浩堂さんとKNOBさんのセッションの素晴らしさもご覧頂きたいと思っております。
お誘い合わせの上お出かけ下されば幸いです。
春の花咲く北鎌倉でお待ちしております。
「鎌倉・樵隠会」 代表 岡山喜代子
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第3回「雪堂茶会」
主催 「鎌倉樵隠会」 協賛 和の心にて候グループ
席主 太田新之介
日時 平成21年 4月18日(土)
会場 雪堂美術館展示室(毛氈の上に座って行います)
会費 3500円 (当日受付でお願いします)
(美術館拝観、ライブ、お菓子と薄茶一服)
集合 午前の部 10時 午後の部 2時(受付開始)
第1席 午前10時30分より12時30分まで 先着35名様
第2席 午後 2時30分より 4時30分まで 先着35名様
*いずれも予約制で、各席別に10名は子どもご招待
*特別出演
「書と木の音・相和す」
書 玉木浩堂(書家)
ディジュリドゥ演奏 KNOB
申込み先
① 雪堂美術館
http://www.onoda-setsudo.com/index.htm
〒247―0062 鎌倉市山ノ内 1391-1
(北鎌倉駅から徒歩4分 「鉢の木」前)
TEL 0467 ― 24 ― 4563 (担当 渡辺)
② 「和の心にて候」グループ
メールアドレス group@wanococoro.org (担当 池上)
「鎌倉樵隠会」
世話人
岡山喜代子(代表) 中村亘利 玉木浩太郎
生瀬美佐江 宇都宮朋代