イベント情報
2017年1月28日
使えるように
200点ほどの作品が窯からだされたが、さあそれからが一仕事。
焼き締めものといわれる焼物は、窯出ししたものをすぐに使うというわけにはいかない。
表面がザラザラして手に痛いものや、目に見えない割れなども多く、使えるようにするまで手がかかるものだ。
うわぐすりという釉薬を掛けて焼く志野、萩などはこの手間が要らないが、私が作る丹波や備前、信楽といったものは窯から出てきてからでなくては分からない。
釉を掛けない焼き締めの魅力は、火の洗礼を受けることによって土がまったく別物になるというところだ。
成型された土が火によって焼物となるところが私の心を揺さぶる。
火山の噴火で山火事が起こり、土が焼かれると固まり、塑性となることを太古の祖先は知っていた。
我が国の焼物の歴史は2万年を遡ることも頷ける。
ようやく次の茶事に使えるものに仕上がったのが掲載写真のもの。
他の数点は差し上げることにしている。
今回は陶友市川君から頼まれた茶碗も2点繕いをした。
窯の中で悶えたもの同士のさりげないおめかしである。
また次の窯に向けて夜な夜なの恍惚が始まる。
写真:上 丹波茶碗 下 黒 茶入
2017年1月28日